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なぜ?20代女子に蔓延する“専業主婦幻想”その実態はリスクだらけ!

 このような専業主婦志望の女性たちを、同世代の男性たちはどのように見るのか。本書におさめられた“数年以内には年収600万円以上は見込める”20代男性たちの座談会では、「妻が専業主婦になってもOKか?」の質問に、「俺は全然OK!」「僕も別にOK」「俺はOKどころか、むしろ歓迎かも。妻の年収がゼロでも気にしない!」と、余裕の回答。

 しかし、「年収600万円あったら専業主婦になりたい」という女性の声を伝えると、それまでのウェルカムムードは一変する。「OK」と言っていた男性も「(600万円稼げたとしても)専業主婦は勘弁」と言い出すのだ。しかも、「ハートが弱いから自分より稼がないで」「転勤になったらついてきて」「でも自分より早く帰って子育てもできる程度にゆるく働いて」という条件まで付け出す始末。……結局は、「専業主婦を養う自分」というのはかっこいいと思いつつも、しょせんはファンタジーに過ぎないために現実を突きつけられると怖気づくのだろう。なかには「400万から500万円稼いでほしい」と言う人もいるが、そんな金額をゆるく稼げたら世話はない。だからこそ、白河氏は〈現実味のない「専業主婦でOK」「俺が養う」という言葉に惑わされないで、安易に仕事を辞めないで〉〈いざとなったら男子たちは、「無理。やっていけないから働いて」と言い、「でも俺より早く帰れて育児に支障のない働き方をしてね」と言い出しますから!〉と訴えている。そもそも、〈年収600万円以上の独身男性はわずか100人に5人。400万円以上でも4人にひとり〉の時代であることを忘れてはいけない。

 それでも、「いつか養ってくれる人と結婚する」と信じてやまない20代女性たちに知っておいてほしいことは、まだある。それは、専業主婦の再就職は厳しく、〈4人にひとりしか正社員には戻れない〉という現実である。それだけでなく、〈結婚していて、一度仕事を辞め再就職した女性で、年収300万以上になる人はわずか1割〉なのだ。

 実際、本書ではそうした厳しい現実に直面している“専業主婦”たちの現状も紹介している。専業主婦に憧れて結婚後しばらくして家庭に入り、年収800万円の夫の給料で悠々自適なプチセレブ生活を送っていたものの、不況で年収が半分にまで落ち、ローン返済とパートに追われる女性。妊娠を機に退職したものの、突然「気が合わない」という理由で離婚したいと宣言された女性。はたまた、ピーク時には年収2000万円もある夫ながら、浪費癖と子育てにまったく協力しないことから離婚を決意、再就職を望むも子どもがネックで採用されず、いまは清掃の仕事をしているという女性。……一度は夫に養ってもらえても、夫はリストラされるかもしれないし、第一、浮気をして離婚を切り出されるかもしれないのだ。

 いま、「女性の貧困」が大きな問題になっているが、この原因も〈「女性はやがて専業主婦になるもの=養ってくれる人がいる」ことが前提という日本の社会保障や仕事のあり方〉が根底にある。こんな世の中だからこそ専業主婦という“高嶺の花”を目指すのかもしれないが、そこには大きなリスクがあることを、よく覚えていてほしい。
(田岡 尼)

最終更新:2018.10.18 03:14

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