そして、おばちゃんは「なんや最近は「軍隊もって一人前、軍隊もてて普通の国になれる!」っていう人が増えてきてるみたいですけど、ホンマにそうなんやろか?」と疑問を呈する。
「気に入らん奴がおるから殴りに行くとかっていうのは、人間としてものすごい原始的ですわな。最後の手段やっていうけど、その最後の手段を出さへんように他の国にも働きかけなアカンよなって憲法の前文読んだらそんな意味にも取れるわけですわ。これこそ、真の「積極的平和主義」。最後の手段もってるのと持ってないのとで心構えが変わってくるっていうお人たちは、どんな風に心構えが変わるのか、一人前になるとか感情論やなくて話してほしいですな」
なぜ、憲法を改正しなくてはいけないのか。安倍首相は、“GHQの押し付け憲法だから”とか“新しい価値観に対応できていない”などと理由を挙げるが、それもおばちゃんは「古臭いことが問題やねんやったら、大日本帝国憲法下でできた民法とか刑法かえるのが先やろしね」と言い、「押し付けもホンマに押し付けかどうか語れるくらい日本国憲法成立史わかって言うてるんやったらまだしも、そんなお人ほとんどいてはりませんもん」と嘆く。安倍首相は憲法を改正しようとするのに、包括的人権規定が憲法13条であることも、憲法学者・芦部信喜も知らないのだから、たしかに成立史を知っているとは到底思えない。おばちゃんが文句をつけたくなる気持ちも納得である。
おばちゃん訳を見ればおわかりになるかと思うが、現行の日本国憲法は一見お堅く感じても、その本質は柔和なものだ。そこに手が加えられれば、どんなものになるのか。自民党が以前に発表した改正草案を読めば、ずっと険悪なものになることはあきらかだ。
「日本がこの9条をあきらめたら、もう世界中でこんな「真の積極的平和主義」書いてる国なくなるってことですな。それと、こんな自由な状態もなくなるでしょうし、人権なんてナンボでも後回しになりますやろなぁ」
戦争上等、自由も人権も無視し放題──。おばちゃんのこのボヤキが、いよいよ現実になるのか。それだけは、ホンマに堪忍してほしい、と思うんやわ。
(水井多賀子)
最終更新:2018.10.18 05:53