おまけに、こういうタイプは相手の一部だけを見て好きになってしまうことも多いため、好きになるきっかけが単純だったりもする。しかし、好きな人が現れてもそこから付き合うまでの過程はわからない。空想や妄想の中ではうまくいっても、現実的に動こうとするとまったくわからないので、著者は片思いをしていた相手にも唐突に告白。「付き合ってからデートする」と考えており、それ以前に話が合うとか合わないといった概念もなかったそうだ。
ここで理解できるのは、大切なのはどんな人が好きなのか、具体的に考えてみることだということ。たとえば、「話しやすい人」が好き、と一口に言っても、「私の話を聞いてくれる人」なのか、「ずっと喋ってくれる人」なのか、「会話しなくてもラクな人」なのか。それによってもタイプはまったく変わってくるだろう。とりあえず出会わなきゃ!と闇雲に動いてみても、ターゲットが絞れていないのだから売り込みようもない。逆に、ターゲットがわかればどこに行けばいいのか、どう売り込めばいいのかもわかってくる。学生時代の友だちやそのつながり、趣味のオフ会など、出会いの場は探そうと思えばいくらでもある。でも、真面目で安定した公務員タイプが好きという人が芸大の友人とばかり飲んだり、趣味のライブに行っていてもなかなかピッタリくる相手とは巡り会えない。そこに気づくだけでも、大きな前進だろう。
そして、もう1つ著者にとって大きなネックになっていたのが、処女だということ。処女をこじらせた結果、「男性のお股がファンタジー」になってしまっていたといい、その上、歳を重ねたことで相手の理想が高くなるというよりも「処女を捧げる」というイベント自体がどんどん高尚で神聖なものになっていった。そのため、デートの度に「ああ──私この人に処女捧げられっかな~?」と悩み、経験者の「処女なんてなくしたら最後!! 大事にしときなー」「付き合ったらセックスしなきゃいけないわけじゃないよ? とにかく付き合ってみて嫌だったら別れちゃえ!!」という言葉もすんなり飲み込めない。「付き合ったらこの人とセックスする可能性が数パーセントでもある」と思っただけで、「試しに付き合ってみるか」とは思えなくなっていたのだ。
恋愛本には、よく「言い寄ってくる人は自分の鏡」といったことが書かれているため、モテない人は「私ってこんなもんなの?」「自分ってダメなの?」と落ち込み、自信をなくしてしまうという。そこから恋愛本ループに陥り、自己啓発やスピリチュアルの泥沼にハマっていく人も少なくない。著者も失恋の傷を癒すため、風水と断捨離にハマり、パワースポットや自己啓発本にまで手を出していった。しかし、自分を見つめなおしながらもがいたり、行動を起こして失敗を重ねた結果、著者は“運命の相手”と出会ったという。
是が非でも彼氏が欲しい、という女性には大いに共感+参考になりそうな本書。福士蒼汰や玉木宏が寄ってくるなんてことはドラマのなかのお話であって、つくづくモテというのは努力のたまものなのだと痛感させられるだろう。
(島原らん)
最終更新:2019.02.15 04:40