『YUZURU 羽生結弦写真集』(集英社)
いよいよ今年もフィギュアシーズンが始まった。高橋大輔、浅田真央らスター選手が一気に抜けたなか、フィギュアヲタたちの注目を一身に集めるのがソチ五輪金メダリストの羽生結弦だ。本日グランプリシリーズ第3戦中国杯で初戦を迎える羽生だが、オリンピック以来その人気はうなぎのぼり。AKB48のまゆゆこと渡辺麻友も、流出したインスタグラムの裏アカで「羽生くんぺろぺろ」と書くなど、かなり濃い羽生ファンと思しき写真や記述がいっぱいだった。
そんな羽生くん初の写真集『YUZURU 羽生結弦写真集』(集英社)が先日発売されがのだが、こちらもバカ売れしているという。10代からアラサー、アラフォー、フィギュアオタクに腐女子、はては男性まで魅了してしまう彼の魅力とは、一体どんなところにあるのだろうか。
まず羽生といえば、そのかわいらしさやふと見せる無邪気さ。そんな少年ぽい一面から“ショタ”と言われることもあるが、ガチ勢からしてみれば身長170㎝を超える19歳の男性がショタなんてありえないと一部では猛抗議する声もあがっていた。しかし、この写真集では羽生の正真正銘のショタ時代からその成長ぶりを辿ることができる。まだ12歳だった2007年から、今夏まで7年の軌跡が収められているのだ。
ノービス(9〜13歳のクラス)時代は、プルシェンコに憧れてマッシュルームカットにしていた羽生。その髪型と赤やオレンジの羽がついたかわいい衣装も相まってか、2008年当時中1の羽生は、女の子のような中性的な顔とあどけない笑顔が印象的だ。ショタ好きはもちろん、かわいいものが大好きな女子も、当時の写真はきっと見逃せないところだろう。そこから徐々に成長し、2014年に撮影されたNHK復興支援ソング「花は咲く~羽生結弦Ver.~」では、かなり大人びた姿を見せている。この企画は、羽生が4歳の頃から震災発生の瞬間も練習に励んでいたという思い出の「アイスリンク仙台」で「花は咲く」に合わせて滑ったものだが、その練習や撮影風景も収められているのだ。そこで一輪の花を胸の前で大事そうに抱え、両手で差し出す際の表情には、何とも言えない色気と哀愁が漂っている。12歳から19歳までという、子どもから思春期の少年、そして大人の男性へと成長していく過程と、その狭間で揺らぐ不安定さを切り取った写真を拝めるのは、この写真集だけではないか。
羽生のかわいさは国内人気にとどまらない。海外でも「カワイイ!」と話題になっている。ロシアではかわいいものにつける「~シカ」をつけ、「ユズーニャ・ハニューシカ」という愛称で親しまれているという。羽生のかわいらしさは、なにも中性的な容姿やプーさんが好きといった乙女趣味だけではない。