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老人の犯罪が激増! 高齢者が犯罪を犯す原因は“貧困”よりも“孤立”

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『高齢初犯』(ポプラ新書) 

 少子高齢化が叫ばれて久しいが、9月に総務省がまとめた同月15日時点での推計人口によれば、65歳以上の高齢者人口は1年前より111万人増え3296万人で、過去最多となった。また8人に1人は75歳以上の後期高齢者であることも明らかとなった。厚生労働省が発表している文書「今後の高齢者人口の見通しについて」では、2025年には65歳以上の高齢者が約30パーセント、2055年には39.4パーセントとなると試算されている。日本がかつてない老人大国となっていることがわかるが、この傾向は今後もさらに進む。

 高齢化社会が進むと同時に、高齢犯罪者の増加についても数年前から指摘されてきた。平成23年度版「犯罪白書」にはすでに、一般刑法犯について「高齢者の検挙人員は,他の年齢層と異なり,近年,増加傾向が著しく,平成22年は,3年の検挙人員の約6.8倍となっている。」とある。そして平成25年度版「犯罪白書」には「高齢者の検挙人員は,他の年齢層と異なり,増加傾向が著しく,平成24年は,5年の検挙人員の約5.2倍」とあり、増加の傾向はいまだ続いていることが分かる。

 なぜ高齢者の犯罪が増えているのだろうか。『高齢初犯 あなたが突然、犯罪者になる日』(NNNドキュメント取材班/ポプラ社)は高齢者たちへの取材をもとに、高齢者犯罪の現状について明らかにしている。同書は昨年日本テレビ系で放送されたドキュメンタリー「あなたは、なぜやったのですか?増え続ける高齢初犯」を製作した取材班によるものだが、これでもかというくらい様々な高齢犯罪者が登場する。

 まず犯行当時70歳だった男性の林さんは、300円の総菜を万引き。執行猶予判決を受けたがまた万引きをし、2年間服役した。現役時代は「いくつかの会社で経理の仕事をし、転職するたびに給料が上がった」と、調子は良かった。しかし65歳のとき「所属していた新聞販売店の経営者が死亡したのをきっかけに、その販売店が閉鎖に」なってしまうのである。蓄えもなく年金にも加入してなかった林さんはたちまちホームレス生活に。何人かの仲間と「一緒に空き缶を集めていると月1万円ほどになった」という。万引きに手を染めたのはそんな時だった。ねぐらにしていた場所から徒歩15分ほどのスーパーで総菜を万引き。ところが所持金は1000円。総菜が買える金は持っていた。

 なぜ金があったのに万引きをしてしまったか、という問いに林さんはこう答える。

「あまり覚えていないんですよ」

 66歳女性の田辺さんは、長年別居している夫がいる。夫は「体の具合が悪いからと毎日ゴロゴロしている」うえに、食事を届けに行った田辺さんに「『さしみが食べたい』『あじのフライが食べたい』『焼酎を買ってきてほしい』などと書いたメモを」渡すなど、会話もほとんどない生活。スーパーで数百円の焼酎を万引きした理由を田辺さんはこう語った。

「夫のものにお金を支払いたくない。それだけの理由ですよ。なんで、私があの人のために支払わなきゃいけないのって急にイライラして」

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