さらに忘れてはいけないのが、鯨肉の一大消費地・大阪の「ハリハリ鍋」。出汁をはった鍋に霜降りが美しい鯨の「尾の身」と水菜を加えた、美食家も唸る関西の定番鍋だ。鍋といえば、関西においておでんになくてはならないのが、鯨の「コロ」と呼ばれる部位。コロとは“マッコウクジラの皮をしぼって油抜きし、残った皮を「煎り皮」と称して水で戻したもの”で、見た目はまるで食器洗い用のスポンジ。しかし出汁の吸収力はすさまじく、代替不可能の一品である。
一方、お取り寄せでも楽しめるのは、全国的に有名な佐賀県呼子の伝統食「松浦漬」だ。これはクジラの鼻筋の軟骨を酒粕で甘く漬け込んだもので、白いごはんとの相性は抜群。同じくネットでも販売されているのが「クジラのタレ」。千葉県南房総市の定番のつまみで、こちらは「ツチクジラの赤肉を薄切りにして塩や醤油がベースの調味料で漬け込み、天日干しにした」珍味だ。そのままでも十分おいしいが、軽くあぶったり、マヨネーズで食してもおいしい。
このほかにも、「おばけ」と呼ばれるさらしクジラや、鯨の舌の部分で高級部位である「さえずり」など、捨てる部位がないと言われる鯨のメニューは幅広い。たしかに値は張るが、捕鯨禁止の是非を考えるためにも一度は鯨肉を食べてみるのも悪くない。少なくとも、おじさんとのコミュニケーションツールにはなり得るはずだ。
(サニーうどん)
最終更新:2015.01.19 06:07