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キムタク『HERO』が道徳の教材に! 腐敗組織・検察が正義のお手本!?

 また、検察は自分たちの不正・腐敗を隠蔽するためにも、この権力を濫用している。実は検察は長年、「調査活動費」という捜査費用を裏金にして、幹部の遊興費に流用していた。そして02年、当時、大阪高検公安部長という検察幹部の職にあった三井環がこれを内部告発しようとするのだが、その直前に、大阪地検に軽微な罪をでっち上げられて逮捕されてしまうのだ。
  
 その三井が獄中で書いた『告発! 検察「裏ガネ作り」』(光文社)には、年間6億円もの裏金がどうつくられているか、そしてそれを告発しようとした自分に対して、どう口封じ工作を展開し、でっち上げ逮捕にいたったかが克明に描かれている。

 しかも、こうした検察の実態は09年から10年にかけて起きた大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で全国民に知られることになってしまった。大阪地検特捜部の郵便不正事件の捜査をめぐり、主任検事自らが描く事件の筋書きに合うように証拠のフロッピーディスクデータを書き換えていたことが明らかになり、当時の特捜部長や副部長までが逮捕されるという未曾有の事態に発展したのである。

 さらに、このしばらく後に東京地検特捜部が捜査した小沢一郎の政治資金疑惑でも検事が捜査報告書を捏造していたことが発覚。相次ぐ大不祥事で「検察=正義」という偽りの神話の化けの皮は剥げ、手柄のためならば改竄だろうが捏造だろうが平気で犯す検察官の歪んだ実態が白日の下にさらされた。

 そんなことがあった後に検察をヒーローとして描くドラマ『HERO』の続編が放映され、しかも政府の道徳教育の教材になるというのだ。こんな組織をモデルに道徳の教育なんてしたら、それこそ、本音と建前の使い分けが子どもたちの間で広がっていくだけだろう。表向きは「正義」といっておけば、裏でどんな卑劣な手段を使ってもいい、自分たちの不正には徹底して頬かぶりして、逆らうヤツを力でおしつぶせばいい――。いったい文科省はどうしてこんな番組を道徳教育の教材に選んだのだろう。

「安倍首相とフジテレビの日枝久会長はべったりですからね。その関係から何かタイアップを、ということになり、道徳教育キャンペーンのプロモーションを引き受けている大手広告代理店が無理矢理、セッティングしたようです」(大手広告代理店関係者)

 ちなみに主人公のキムタクは『AERA』(7月28日号)のインタビューで検察について聞かれて、こう語るのみだった。

「検察官の責任ってハンパじゃなくデカいと思うんですよね」
 
 なるほど、国家のために気合いで命をなげうつようなヤンキー的道徳教育を推し進めたい安倍政権にとって、キムタクはうってつけの人材だったのかもしれない。
(宮岡 悠)

最終更新:2014.08.05 03:12

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