コンビニ弁当の揚げ物も体への影響がある。
「『油は酸化していないの?』と不安を感じる人もいるはず。そうなのです。高温で揚げてあるので、油が酸化した、有害な過酸化物質ができている可能性があるのです。そのため、人によってはお腹をこわすことがあります。精肉店や天ぷら店で、コロッケや天ぷらを揚げているのを見たことがあるでしょうか。たいていは油が黒くなっています。何度も揚げるのを繰り返しているので、油が酸化して、あのような色になってしまうのです。コンビニ弁当を作っている工場でも、おそらく似たような状況だと思います」(同書より)
「動物実験では、過酸化脂質は成長に悪影響をもたらし、多量に与えると死んでしまうことが確認されています」(同書より)
ついつい、ついで買いをしてしまう店頭のフライドチキン、唐揚げ、コロッケ、アメリカンドッグなどのホットスナック類は、よりヤバい。
「コンビニでは、ふつうカウンター内に四角い金属製のフライヤーを設置し、コロッケやフライドチキンを揚げています。厚生労働省の衛生規範では、揚げ油の酸価値(油の劣化や変質を示す尺度)が2.5を超えた場合、新しい油に取り換えることになっています。酸価値が3.0以上になると、異臭がして、食べた場合に嘔吐や下痢をもよおすことがあるとされています」(同書より)
各コンビニでも、「この衛生規範を守っている」「独自に管理基準を設けている」など対応はまちまち。しかし、実際に店頭で調理するのはアルバイトたちなのだから衛生規範の知識はかなり疑わしい。
いまやコンビニはホットスナック類を商品展開の全面に押し出しているが、その理由は、今回の事件で、ファミリーマートが「ガーリックナゲット」や「ポップコーンチキン」を中国から輸入していたことからもわかるように、安く仕入れることが出来る上に、学生アルバイト接客の片手間に調理させるだけで、一定の利益が見込めるからだ。
「安くあげようと思えばとことん安くできるのが、揚げ物メニュー」というのは、『じつは怖い外食〜サラリーマンランチ・ファミリー外食に潜む25の危険〜』(南清貴/ワニブックス)。この本は飲食店の経営経験もあるフードプロデューサーが業界の裏側を明らかにしたもので、「揚げ油を安く済まそうと思えば使い古しの格安の油を買うこともできるし、油を換える回数を減らせば、その分コストは下がる。ひどいケースではショートニングを足すこともある」という。
ショートニングとは人間の消化酵素では消化できない、工業的に作られた「トランス脂肪酸」を大量に含んだ人体に有害な油脂のことだ。欧米では規制が進んでいるが、食品業界の力が強い日本では消費者庁が「欧米に比べて摂取量が少ないために規制はしない」と、いまだ使い放題の状態なのだ。