経済的な事情を友人に知られたくないために疎遠になり、苦労する親に学校での悩みも相談できず、精神的に不安定な状況になり不登校となるケースは貧困家庭では多く見られるという。不登校や引きこもりは、将来の社会的孤立にもつながる。
「学校や友達と関わる機会が減り、社会とのつながりが希薄になっていく。家族以外の他者と会話をすることがなくなる。それどころか、家族を含め、誰とも会話をしない日々を過ごすケースも出てくるだろう。人とコミュニケーションを取ることが苦手になり、仕事に就くことがより困難になっていく」からだ。
親の貧困は子どもの貧困に直結する。そして貧困家庭に育った子どもは、そこから抜け出す道を予め奪われ、将来にわたっての貧困までをも決定づけられてしまうような状況に追い込まれているのだ。
もちろん行政や学校、民間の支援団体も地道な努力を続けているが、貧困は子どもを社会的に孤立させ、貧困を脱する能力――経済的自立や、コミュニケーション、公的機関などに援助を求める知識や能力さえも──奪ってしまう。
貧困の問題は、個人では決して解決できるものではない。ましてや子どもにできるはずがない。国や行政、そして民間が一丸となり、精神面も含めたサポートなど、より細やかな対策が必要なのかもしれない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2014.07.16 08:50