岸田首相が何がなんでも死守しようと必死になっている、政党への企業・団体献金。だが、それも当然だろう。
というのも、朝日新聞が2021年分の政治資金収支報告書を精査したところ、企業・団体献金を受けた自民党の議員が代表を務める政党支部は321支部、計約31億2000万円にものぼっている。
さらに、自民党の政治資金団体「国民政治協会」の2022年分の政治資金収支報告書を見ると、収入である約29億円のうち約24億5000万円が企業・団体からの献金だった。1000万円以上の大口献金をおこなった大企業と業界団体は62にもおよんでいる。
そして、自民党は大口献金をしてくれる大企業を優遇し、持ちつ持たれつの関係を築くことでその権力を維持してきたのだ。
たとえば、企業単体で自民党への献金額がもっとも多かったのは、トヨタ自動車と経団連会長の十倉雅和氏がトップを務める住友化学の5000万円だが、トヨタはグループ会社の日野自動車やダイハツ工業、デンソーなどの献金額も含めると1億1000万円にものぼる。業界団体で最高額だったのは日本自動車工業会の7800万円だった。
このように自動車企業・業界から巨額の献金を受け取ってきた一方で、岸田政権は昨年6月、トヨタ自動車に対してEV向け電池の開発・生産計画に約1200億円の補助金を出す方針を決定。また、2022年12月には、日本自動車工業会が要望していた「エコカー減税」の延長を決めた。
さらに、防衛産業も自民党の大口献金企業の常連だ。岸田首相は防衛費を43兆円に増額することを決めたが、防衛省が買い上げる防衛装備品を生産する三菱重工業は3300万円を献金。同じく防衛省と契約する伊藤忠アビエーションや伊藤忠エネクスの親会社である伊藤忠商事は2800万円を献金している。また、岸田首相が推進を打ち出している原発関連でも日立製作所が3500万円を献金。岸田政権が強行するマイナンバー制度で関連事業を請け負う日本電気と富士通も、それぞれ1800万円を献金している。
もっと露骨なのが電通だ。ご存知のとおり、コロナ禍の持続化給付金事業でも中抜き批判が巻き起こり、東京五輪をめぐる談合事件でも電通グループが独禁法違反の罪に問われているが、電通は480万円を献金。さんざん国との癒着が問題となったにもかかわらず、懲りることもなく与党・自民党に献金をつづけているのである。