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ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし

 こうした忖度はテレ朝にかぎらず他局でも同じ空気が流れていたことは想像に難くないものだが、テレ朝の場合、とりわけ重いものだったはずだ。実際、テレ朝とジャニーズ事務所が築いてきた蜜月関係は、他局よりも古く、濃いものだからだ。

 テレ朝とジャニーズの関係を語る上では外せないのが『ミュージックステーション』の存在だ。1986年に放送が開始された『Mステ』は、芸能プロダクションとの癒着が有名で「テレ朝の天皇」とも呼ばれた皇達也・元取締役制作局長が、ジャニーズと田辺エージェンシーと共同で立ち上げた番組。一時はジャニーズの稽古場がテレ朝局内に置かれていたこともあったほどの関係にある。

 そして、番組スタート時からジャニーズ所属のアイドルがほぼ毎週出演してきた一方で、ライバルとなる他事務所の男性グループアイドルが出演できない状況がつづいてきた。現に1997年には、この年デビューしたDA PUMPが番組に出演することが決まると、放送前日になってジャニーズはKinKi Kidsを出演させないと一方的に通告するという事件が起こった。こうしたジャニーズ以外の男性アイドルグループの番組からの排除は、ジャニー氏の意向をテレ朝が汲み取った結果だ。ジャニー氏の功績を振り返った「週刊新潮」(新潮社)2019年7月25日号の記事では、実際に皇氏がこう証言している。

「台頭してきた他の事務所の男性アイドルを番組に出すかどうか考えていた時のこと。ジャニーさんは“出したらいいじゃない。ただ、うちのタレントと被るから、うちは出さない方がいいね”と言う。ジャニーズタレントが番組から消えたら大変です。私が”そんなこと言わないで後進に手本を示してくださいよ”と返すと、”わかったよ”と理解してくれた。厳しさの反面、度量もある方でした」

 皇氏はジャニー氏が理解してくれたと述べているが、実際にはその後、DA PUMPはヒット曲をいくら出しても『Mステ』に出られず、再出演を果たしたのはなんと21年後の2018年のことだった。

 さらに、『Mステ』では、ジャニーズアイドルのバックダンサーをジャニーズJr.が務めることが多いが、「目立たせたいJr.がいる」といったジャニー氏の要望により位置替えがよく起こっていたという。また、『Mステ』は番組開始当初から20時スタートだったのを、2019年10月からは21時スタートに変更したが、ここにもジャニー氏への配慮があったと言われている。というのも、Jr.には15歳未満の者も多く、21時スタートでは彼らが生出演できなくなる可能性があったからだ。つまり、ジャニー氏の死去によって、Jr.への配慮の必要がなくなり、21時への改編が可能になったというわけだ。

『Mステ』以外にも、1998年にはジャニーズJr.にとって初のゴールデン枠のレギュラー番組となる『8時だJ』を放送するなど、ジャニー氏の言いなりともいうべき関係を築いてきたテレ朝。こうした古くからの関係が、局内に「忖度するのは当然」という空気を生み出し、あの玉川氏でさえ鋭い批判ができない要因となっているのだろう。

 実際、玉川氏とともに政権批判を繰り出してきた『モーニングショー』元コメンテーターの青木理氏は、16日放送のYouTube番組「Arc Times」において、番組名は伏せつつも『モーニングショー』での出来事だと思わせる“ジャニーズ忖度”のエピソードを披露した。

 青木氏によると、SMAPの解散報道時、事前にプロデューサーから「青木さん、コメントしたいですか?」と尋ねられ、青木氏は「芸能事務所とテレビ局がある種、一心同体になってしまっている。準当事者になってしまっていて、報じられないこともある。だから視聴者はこういうメディアリテラシーも必要なのかもしれない」といったことを言いたい、と伝えたという。ところが、このコメントは「会議が開かれてNGに」なったらしく、「この件は一切コメントなしで行きますから」と告げられたという。

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