たとえば、19日に新型コロナに感染したと発表した同じ自民党の安藤高夫衆院議員(61歳)は、スタッフの感染が判明したことから検査を受けたとし、本人は医療法人の理事長も務めているが、喉の痛み以外に症状がなかったことから自宅療養となっている。一方、昨年11月に新型コロナに感染したことを公表した立憲民主党の小川淳也衆院議員(49歳)は、39度以上の高熱が出たことから東京都の相談センターに紹介された発熱外来まで1キロ歩いて出向き、抗原検査で陽性と判明。その後、議員宿舎まで歩いて帰り、保健所から「高熱なので入院したほうがいい」という連絡を受けて入院措置となったという。
それに比べて、石原氏は、一般外来ではPCR検査をやらないはずの国立大学法人の附属病院でPCR検査を受け、満床で入院患者を受け入れられないはずのその病院にすぐに入院しているのだ。
国民の公僕である国会議員とはいえ、入院が必要だと判断されるような状態であれば、入院すべきなのは言うまでもない。だが、石原氏のケースは明らかに特別扱いとしか思えない。
しかも、ここであらためて思い出しておきたいのは、石原氏のこれまでの発言だ。
石原氏といえば、2012年2月に胃ろう患者が入院する病室を視察した際に、「エイリアンが人間を食べて生きている」と発言。また、同年12年9月に出演した『報道ステーション』(テレビ朝日)では、社会保障費削減について問われると、生活保護をネット上の蔑称である「ナマポ」という言葉で表現した上、「私は尊厳死協会に入ろうと思っている」と発言、延命治療をやめて尊厳死を認めることで医療費がカットできるといった考えを露呈させた。
胃ろうを造設した患者の尊厳を蹂躙する暴言を吐き、さらには医療費カットを理由に延命治療という生きる権利を否定する。こうした石原氏のような差別的かつ新自由主義者の自民党議員たちが公的病院をターゲットにして現在の脆弱な医療体制をつくり出したというのに、この非常時に真っ先に医療を受けているという現実……。
いますぐ入院すべき人が入院できず、高齢者は人工呼吸器の装着などを望むか否かの選択に迫られるという“命の選別”がおこなわれるという最悪の状況にまで陥っているなかで、政権与党の超有名2世議員は即日入院という“当たり前の医療”を受けている──。これはあまりに理不尽ではないか。
繰り返すが、理想は石原氏のように誰もがすぐに検査を受けられ、すぐに入院できる環境の実現をめざすべきであり、感染者を責めることは、本来はすべきではない。
だが、石原氏への措置に反発が生まれる土壌をつくっているのは、ほかでもない、石原氏ら自民党の政治家、そして無為無策で医療崩壊を招いた菅政権であることを忘れてはならないだろう。
【2021.01. 23初出】
(編集部)
最終更新:2021.12.22 07:56