日本維新の会公式Twitterより
投開票日まで残すところ3日となった総選挙。これは安倍・菅政権の継承を問う選挙だが、そんななか、メディアの情勢調査でこの選挙での躍進が伝えられているのが日本維新の会だ。
こうした流れのなかで、Twitter上では〈#総選挙は自公と維新以外に〉というハッシュタグが広がりを見せていたのだが、一方、日本維新の会は対抗するように20日から〈#自民か維新かそれ以外か〉というハッシュタグをつけてツイートを開始。さらに、それだけでは飽き足らず、昨日27日には、日本維新の会の公式Twitterアカウントが〈#自民か維新かそれ以外か〉とハッシュタグをつけた上で、吉村洋文・大阪知事の街宣中写真を使ったネットポスターを投稿。そこには〈文句だけの立憲民主党。〉とデカデカと書かれており、このような文章が躍っていた。
〈私たち以外の野党は審議拒否をし、明確な代替案も提示せず、ゴシップで足を引っ張って単に文句ばっかり言っている。そんなの政治家の仕事ではありません。
日本維新の会は是々非々のスタンスで「良いものは良い。悪いものは悪い。」とはっきりと伝え、対案を示し、常に前に進むことを考えているんです。〉
吉村知事は17日におこなわれた東京・有楽町の街頭演説でも「ただ単に反対はダメ。文句ばっかり言ってる政党。どことは言いませんが立憲民主党」「やらないのに文句ばかり。(感染者が)増えたら知事のせいって……誰とは言わないが枝野さん!めちゃくちゃですよ!」と攻撃をおこなっていたが、ついに党公式でネットポスターまで作成して拡散をはじめたのだ。
だが、この主張は何から何まで大嘘。というか、もはやデマの拡散でしかない。いい機会なので、ここで反論していこう。
たとえば、維新は「(立憲は)単に文句ばっかり言っている」と主張しているが、これがそもそも事実に反している。
実際、「選挙ドットコム」に10月20日に掲載された立憲の中谷一馬・前衆院議員(神奈川7区)のブログ記事によると、2017年11月から2021年6月までの国会において、立憲民主党会派は政府提出法案の82.6%に賛成。もっとも賛成率が高かった日本維新の会は88.7%で、その差は僅差だ。ちなみに、維新がすぐに槍玉にあげる日本共産党も、政府提出法案の半分以上となる53.9%で賛成に回っている。つまり「文句だけ」ではまったくない。
さらに、「明確な代替案も提示せず」というのもデマだ。コロナ下で立憲が共産党など他の野党と共同で具体的なコロナ対策を政府に提案し、それを遅れて政府が採用する事態が何度となく繰り返されてきたからだ。
その最たる例が、昨年おこなわれた10万円の一律現金給付だ。立憲は4月1日に提案をおこなっているが、当時の安倍晋三首相はこれを無視。ところが国民から批判が集まると、それに耐えきれなくなって同月16日にようやく方針転換した。これは家賃支援金や大企業の非正規に対する休業支援金、低所得のひとり親世帯への給付金の再支給などの政策も同様で、野党から提案・国会提出された法案を、そうとは言わずに政府が採用してきたのが実態なのだ。
それどころか、自民党は今回の選挙公約に検査の拡充をはじめ、非正規や女性、学生に対する経済支援を盛り込んだが、立憲や共産などは昨年からこれを一貫して訴え、そのための法案を国会に提出済み。ようするに、岸田文雄首相は選挙対策で立憲や共産などのコロナ対策を横取りしたにすぎないのだ。
しかも、こうした野党提出法案のなかには、維新も立憲らと歩調をあわせて国会に提出された法案もある。にもかかわらず、維新は立憲を「文句だけ」「代替案も提示せず」などと嘘で攻撃しているのだ。
さらに、維新は「是々非々のスタンスで「良いものは良い。悪いものは悪い。」とはっきりと伝えて対案を示している」と主張しているが、前述のとおり維新は政府法案への賛成率がほとんど立憲と変わらないだけではなく、維新は「是々非々」どころか「自公のお追従・アシスト係」でしかない。