そういう意味では、岸田首相も結局、安倍晋三や菅義偉と同じで、国民にきちんと説明する気なんて最初からまったくなく、ウソでゴマカシを図ろうとする“詐欺師総理”にすぎない。
ただし、岸田首相の場合、息を吐くようにウソをついた安倍元首相、説明そのものを拒否して開き直った菅前首相のように横暴にはなりきれない。むしろ、安倍元首相をはじめ、いろんな勢力の顔色をうかがってさらに言い訳が長くなり、自分でも何を言っているのかわからない状態に陥ってしまうこともある。
その典型が、先の『news23』で選択的夫婦別姓制度について話が及んだときのことだ。星氏から「子育てに関連して女性の働き方のなかで多くの女性が選択的夫婦別姓を早く実現してくれというのがある」「選択的夫婦別姓、切り替えていくという考えはないですか」と投げかられると、岸田首相はこんなことを口走ったのだ。
「えっと、若い女性のみなさんが……若いというか女性のみなさんが、社会で思いっきりこの能力を発揮していただくためには、まずは基本的に兼業・副業などさまざまな働き方が可能になる社会の仕組みが大事だと思っています。そのなかのひとつとしてご指摘の選択的夫婦別姓の問題もあると認識をしています」
選択的夫婦別姓制度の導入を求めているのは若い女性にかぎったものではないのに「若い女性」と言ってしまったことには岸田首相の問題意識の低さがにじみ出ているが、もっと呆れたのが、「まずは基本的に兼業・副業などさまざまな働き方が可能になる社会の仕組みが大事」と言ったことだ。そもそも、働き方の問題と選択的夫婦別姓制度の導入はまったく次元の違う話なのに、兼業・副業を可能にしてからって、いったい何を言っているのか。
これまで本サイトでは、安倍元首相や菅前首相の詭弁や嘘に対して「騙されてはいけない」と警鐘を鳴らしてきた。しかし、岸田首相の場合、それ以前に、何を言っているのかを国民に理解されないのではないか。
だが、それは岸田政権が「無害」ということではない。首相の意味不明なダラダラ話の裏で、3Aによってどんどん国民不在の政策が進めていくだろう。
(水井多賀子)
最終更新:2021.10.17 11:01