ともかく、選挙戦において自民党議員が業者を雇い、場合によっては原資が税金の政党交付金を使って対立候補のネガティブ情報を積極的に拡散させるなどのネット工作をおこなっているという事実を踏まえれば、野党や政権批判をおこなうメディアを攻撃し、フェイク情報も流してきた有力ネトウヨアカウントであるDappiも、同じように自民党からの依頼でネット工作を実行してきたとしても何ら不思議はない。そして、繰り返すがこれが事実であれば、政界を揺るがす大スキャンダルである。
一方、ネット上では「Dappiが法人で何が悪いのか」、「リテラもDappiも同じようなもの」「dappiがダメなら赤旗もダメ」などという意見まで出てきているが、バカも休み休み言ってほしい。当然ながら、本サイトはいかなる政党からも金を受け取っていないし、赤旗はそもそも政党機関紙だと名乗っている。かたやDappiが問題になっているのは、自民党と取引がある法人であることを隠して一般人になりすまし、政権を擁護するだけでなく作為的に野党など自民党の「政敵」に対してフェイク攻撃を仕掛けていたこと、さらにはそのネット工作に公金が流れている可能性さえ出てきたからだ。
先日、オーストリアのクルツ首相が辞任を表明したが、これはクルツ氏らが過去に〈クルツ氏に有利な世論が形成されるよう、世論調査会社やメディアグループに公金を支払った疑い〉(朝日新聞10日付)があり、クルツ氏や側近らを検察当局が強制捜査したためだ。検察当局はクルツ氏率いる与党・国民党の党本部や首相官邸、財務省などを家宅捜索したというが、同じ民主主義国家である日本でもこうした捜査がおこなわれて然るべきだし、本来、Dappi問題は徹底調査がおこなわれなければならない重大事なのだ。
今朝になってようやく東京新聞がDappi問題を報じ、前述のとおり国会でも取り上げられた。岸田政権はこのまま知らんぷりするつもりなのだろうが、今後、メディアによる徹底した報道が必要なのは言うまでもない。
(編集部)
最終更新:2021.10.13 07:51