日本記者クラブの討論会(公式HPより)
たんなる党内の覇権争いにすぎないというのに、あたかも「これでこの国の未来が決まる」かのように取り上げられつづけている自民党総裁選。「期待度1位は河野太郎氏」「女性初の総理大臣誕生なるか」「説明能力と指導力に期待」などと期待感を煽る報道により、あれほど吹き荒れていた菅政権に対する逆風もすっかり凪ぎ、世論調査では自民党の政党支持率が上昇している。
だが、新総裁が誰になろうと、安倍・菅政権による政治が一新されるようなことはない。実際、本日おこなわれた日本記者クラブ主催の討論会などでは、総裁選候補者から次々と、安倍・菅政権が起こした不正を不問に付す発言が飛び出しているからだ。
まず、その最たるものが、森友公文書改ざん問題の再調査をめぐる発言だ。
総裁選への出馬表明をいち早くおこなった岸田文雄氏は、当初、「国民が納得するまで努力をすることは大事」などと発言したものの、これが安倍晋三・前首相の逆鱗に触れたことで一転。「再調査をするとか、そういうことを申し上げているものではない」などと言い出した。
そして、きょうの記者クラブでの討論会でも、岸田氏はこう主張した。
「調査がおこなわれ、報告書が出されている。これが行政の有り様です。司法において裁判がおこなわれ、検察の調査等もおこなわれました。そしていま民事の裁判もおこなわれています。(中略)こうしたそれぞれの立場で調査なり報告書がおこなわれている、おこなわれようとしている。民事のほうはまだつづいているわけですから。そういったものをしっかり踏まえた上で、国民のみなさんのこの問題に対する納得感という観点において政治の立場からしっかり説明していくことは大事」
グダグダと御託を並べているが、ようするに岸田氏は再調査の必要性を認めず、安倍前首相や菅義偉首相が繰り返してきた「国民に説明していく」という浅薄な台詞でごまかしたのである。
安倍前首相の機嫌を損ねることにビクビクし尻尾を振りつづける小心者──。「聞く力」を掲げる岸田氏だが、耳を傾ける相手は結局は安倍前首相でしかなく、岸田氏が次期総裁・首相になれば、安倍傀儡政権が生まれるだけなのは明々白々だ。
だが、森友再調査をめぐる問題で岸田氏よりももっと悪質だったのは、河野太郎氏の発言だ。