だが、さらに呆気にとられたのは、感染割合が増加している子どもたちにかんする問題での政府答弁だ。
同じく参院厚労委員会で質疑に立った日本共産党の吉良よし子参院議員は、8月に「子どもの発熱にかんするアンケート」(回答者409人)をネット上で実施し、その結果を紹介。「保育園や学校で陽性者が出た際、どの範囲まで検査がおこなわれたか」という問いでは、「園や学校のすべての児童、教職員などの関係者におこなわれた」という回答はわずか0.3%、「濃厚接触者やクラス・学年のメンバー全員」もたったの8.6%で、「濃厚接触者のみ」が37.9%、「検査はおこなわれなかった」が24.8%と多数にのぼった。なかには「保育園や陽性者が出たが“濃厚接触者ではない”と判断され、発熱してもPCR検査を断られた。父親の勤務先でPCR検査を受けたところ陽性だった」という声もあったという。
さらに、「子どもが発熱してもPCR検査を勧められなかった」という人の割合は64.7%にものぼっており、吉良議員のもとに寄せられた「医師の診断は『風邪ですね』の一言だけ。『検査しなくていいのか』と訊くと『子どもは軽症だから大丈夫』と言われた」「『大人が体調不良でなければ子どものコロナはありえない』と言われた」という声を紹介。「子どもが発熱した際にはすぐに検査を徹底すべきでは」と訴えた。
だが、田村厚労相の答弁は、信じられないものだった。
「発熱された患者は基本的に診療・検査外来という医療機関に行っていただければ検査をしていただくというふうに我々は認識している」
65%近くもの人たちが「発熱しても検査を受けさせてもらえなかった」と言っているのに、田村厚労相は質問を聞いていたのか?という話だろう。しかも、吉良議員は12歳未満の子どもたちはワクチン接種ができないことも踏まえて保育園や学校などでの定期検査を求めたのだが、田村厚労相の答弁は「重症化リスクという意味では、高齢者と比べると(子どもは)明確に数字が違う」などと述べて定期検査の実施を拒否したのだ。