まさに菅首相が打ち出した「自助」がここまで幅を利かせていることにはウンザリするが、これほどの攻撃がおこなわれているのは、菅首相の擁護というより、芸能人が政権批判したからだろう。
自民党応援団やネトウヨ連中は、芸能人や有名人の影響力の大きさを知っているから、少しでも政権批判をしたら、まるでピラニアのように食いついてくる。炎上させることで、口をつぐませようとするのだ。
しかも、発言媒体が『バイキング』だったことが、さらに拍車をかけた。
というのも、『バイキング』では政権べったりのフジテレビの番組であるにもかかわらず、安倍政権時からどのワイドショーよりも政権の不祥事を取り上げ、MCの坂上忍も安倍政権の批判を口にしてきたからだ。そのたびにヤフコメでは「芸能人が政権批判するな」勢による坂上の批判が殺到してきたが、とくに最近は、坂上が五輪開催を批判し再延期を訴えたことにより、それが激化。「坂上はロケもやっていたくせに五輪批判するな」「ひな壇に芸人を集めてろくな感染対策もとっていないのに五輪批判か」と反発が強まっていた。
そんななか、コメンテーターの野々村はいつも毒にも薬にもならないコメントをおこなってきた人物だが、今回、坂上が敵視されてきた『バイキング』で菅首相批判をしたことで、より強い攻撃を受けてしまったのだろう。
『バイキング』では、過去にコメンテーターを務めていた小籔千豊が露骨な政権擁護を繰り広げたり、現在もブラックマヨネーズのふたりが大阪維新に毒されたコロナ対策を軽視する発言をおこなうこともある。
だが、そうした「政治的発言」は問題視されないのに、それが政権批判だと「芸能人がしたり顔で語るな」と喚き立てるのだ。
しかし、野々村は菅政権による医療提供体制の不備による被害に遭った当事者なのだ。そんな人物の正論さえ、卑劣な攻撃に晒され、炎上状態になってしまうとは……。こんな状況下では、いくら菅首相が退陣しても、国民軽視の自民党政治は終わることはないだろう。
(伊勢崎馨)
最終更新:2021.09.07 10:46