危機対応のひどさはコロナだけではない。相次ぐ災害でも政局優先で、まともな対応はほとんどとっていない。先日、アフガニスタンがタリバンに制圧された際も、他国に比べて初動が遅すぎて、邦人1人しか退避させられなかったが、これも菅首相がまったく関心を示さず、専門家の「早期退避」に提案に政府が応じなかったことが明らかになっている。
不祥事や不正も山ほどあった。長男が務める東北新社と自身のお膝元である総務省の違法接待・癒着問題、NTTと総務省の違法接待・癒着問題、東京五輪不正買収への関与……。さらに、子飼いの河井克行元法相は逮捕され、武田良太総務相にも不正が発覚、自らが推進してきたIRがらみでも、秋元司衆院議員が逮捕されるなど、それこそ疑惑まみれの予想を呈していた。
しかし、菅首相の最大の問題といえば、民主主義の原則を無視し、破壊し続けたことだろう。
菅首相は安倍政権の官房長官時代から、森友・加計問題や「桜を見る会」問題の疑惑隠しのために公文書の改ざんや隠蔽を主導するなど、民主主義に不可欠な情報公開や手続きを無視する行為を繰り返してきたが、首相になってその横暴はさらにエスカレートした。
日本学術会議の会員人事では気に入らない研究者の任命を拒否して「学問の自由」を踏みにじり、言論機関への圧力も官房長官時代よりさらに露骨になった。
そして、この民主主義破壊の極め付きとも言えるのが、コロナが感染急拡大する中、会見でまともに政策を説明せず、国会開催を拒否し続けたことだ。その結果、コロナ対策の法整備、予算確保ができない状況が続き、コロナの感染拡大や医療崩壊をさらに悪化させることになった。