オリパラアプリで明らかに優遇を受けていたネクストスケープという会社。内閣官房IT総合戦略室が依頼した弁護士チームの調査報告書も、このネクストスケープの問題に踏み込んでいる。
しかし、報告書でおもに中心になっているのは、IT総合戦略室の室長代理でオリパラアプリの受注先などを選定するプロジェクトチームのトップだった神成淳司・慶應義塾大学教授との深い関係だった。
報告書によると、神成氏とネクストスケープの社長は親しい関係にあったが、オリパラアプリの発注前からこの社長をプロジェクトの一員として加え、仕様書の作成作業にまで関与させていた。また、オリパラアプリのデータ連携基盤には、神成氏が開発責任者であり、ネクストスケープの社長が共同開発者となっている「WAGRI」を採用されたが、この「WAGRI」の使用によって実施料収入が神成氏に配分される可能性があったという。さらに、報告書では〈本調達の時期とは隔たりがある〉としながらも、2017年5月~2018年11月ごろに神成氏が同社長から〈極めて頻繁に高額な飲食の接待を受けていた事実〉があったことにも踏み込んでいる。
こうした点を踏まえ、報告書では〈ネクストスケープが再受託者として本システムの開発に関与するに至っていることについては、利益相反的な状況にあるとして国民の不信を招きかねないものであると指摘せざるを得ない〉〈(神成氏は)本調達の発注者としての立場とWAGRIの開発責任者としての立場にあり、いわば利益相反が問題となり得る状況にあったともいえる〉と指摘しているのである。
たしかに、この報告書を読むまでもなく、神成氏が社長と昵懇の関係にあったネクストスケープおよび自分自身に利益を図ろうとしたのではないかという疑惑は「週刊新潮」(新潮社)などでも報じられていていた。
だが、問題のネクストスケープと関係があったのは、神成氏だけではなく平井大臣も同じ。いや、平井大臣とネクストスケープをめぐっては、もっと深い関係が囁かれてきた。
平井大臣は7月9日、あるIT企業の株式の購入・保有を資産報告書に記載していなかったこと、その株を売却して利益をあげながら申告していなかったことを認め、書類を訂正して、税金を申告したと発言。さらにその1週間後の7月16日の閣議後記者会見でもあらためてこの問題に言及し、今度は当該IT企業の株式を購入したのが内閣府政務官だった2006年で、大臣規範に反していることを認めて「不注意だった。おわびを申し上げたい」と陳謝した。
この平井大臣が株式を購入していた会社というのは「豆蔵ホールディングス」という役所や企業向け情報サービスの会社なのだが、じつは、ネクストスケープはこの豆蔵HDの完全子会社なのだ。