平井卓也公式サイトより
本日9月1日、ついに菅義偉首相肝いりの「デジタル庁」が発足するが、結局、平井卓也・デジタル改革相が何事もなかったかのようにトップに立っている。
デジタル庁の母体となる内閣官房IT総合戦略室では、東京オリンピック・パラリンピック向けアプリ(オリパラアプリ)で委託業者との不正が発覚。平井大臣自身にも重大な癒着疑惑が浮上していた。
ところが、8月27日、平井大臣が計6人の幹部職員らの処分を発表したものの、もっとも重い処分で訓告。しかも、当の平井大臣の処分はまったくなく、「一定の監督責任がある」などと言って給与1カ月分を自主返納するだけに終わった。ようするに、平井大臣自身は完全に不問に付され、そのままデジタル庁の初代大臣におさまってしまったのだ。
これはどう考えてもおかしい。そもそも、今回オリパラアプリが問題になった発端は、平井大臣が会議の席で受注先の1社であるNECについて「脅しておいたほうがいい」「完全に干すからね」などと恫喝発言をおこなっていたことや、平井大臣が幹部と会食を繰り広げていたNTTの100%子会社であるNTTコミュニケーションが中心となったコンソーシアムが受注したことなど、平井大臣をめぐる疑惑が次々に噴出したことにある。
これを受けて、内閣官房IT総合戦略室では弁護士チームに検証を依頼。8月20日にその報告書を公表した。
しかし、その報告書は、オリパラアプリの調達で「国民の不信を招く不適切な手続きがおこなわれた」と指摘しながら、平井大臣の関与をことごとく否定していた。
なかでも、もっとも不自然だったのは、オリパラアプリを再委託されていた「ネクストスケープ」というITベンチャー企業を優遇していたという問題だ。
政府はオリパラアプリをNECやNTTコミュニケーションズ、日本ビジネスシステムズ(JBS)など5社による共同事業体に委託をおこない、その5社がさらに計20社以上の下請け企業に開発などを再委託。そんな再委託先のなかでもっとも高い金額で事業を請け負っていたのが、JBSから6億6000万円で開発などを再委託されていたネクストスケープだった。
今年6月、オリパラアプリの予算が総額約73億円にのぼることが国民の批判を受け、平井大臣が費用を約38億円まで圧縮すると公表、NECなど各社に減額させた際も、当初、ネクストスケープは減額されていなかった。
ネクストスケープに再委託した元請け業者のJBS が事業費を約14億円から約8億円まで減額されていたにもかかわらず、である。