しかも、WHOが6月にラムダ株を「注目すべき変異株」に位置づけたあと、国立感染研は7月6日に〈検疫・国内では報告がないため、現時点では VOCs/VOIsへの位置付けは⾏わず、ゲノムサーベイランスで発⽣動向を注視していく〉とした。つまり、報告例がなかったために位置づけをおこなわなかったのだ。それが検疫ではじめて確認されたのだから、厚労省はその時点で発表すべきだったのだ。
実際、今年春に関西圏で猛威を振るったアルファ株が国内で初めて確認されたのは昨年12月25日だったが、その日のうちに田村憲久厚労相は会見を開催してその事実を公表。19時にも会見をおこなっていたにもかかわらず、アルファ株の初確認のためだけに21時から緊急で会見を開いたのだ。
にもかかわらず、ラムダ株の初確認に対してはどうして迅速な対応もせず、挙げ句、海外メディアに追及されるまで隠し通したのか。これはどう考えても、東京五輪開催に水を差すことになると踏み、意図的に事実を隠したとしか思えない。
しかも、海外メディアの追及を受け、しれっと厚労省がラムダ株の国内初確認を公表した際も、出された情報は「ラムダ株を検出したのは30代女性」「7月20日に羽田空港にペルーから羽田空港に到着し検疫で陽性が判明、その後、国立感染研がラムダ株と確認」「無症状」というものだけ。この女性が五輪関係者だったことが判明したのは、東京五輪の閉会から5日も経った13日のことだった。
本サイトでも既報のとおり、この隠蔽問題を追及したアメリカのリベラル系ニュースサイト「Daily Beast」の記事(8月6日付)では、国立感染研の職員が匿名で「通常、新しい変異株が見つかると、情報はすぐに公表されるが、今回は公表されない」「この情報はオリンピックが終わった後に報告するのが最善であるというコンセンサスが厚生労働省にあった」と証言していた。この記事が出たことで厚労省はラムダ株の国内初確認を公表せざるを得なくなったわけだが、検出されたのが大会関係者だったことは東京五輪の閉会後まで押し隠したのである。あまりにもわかりやすい隠蔽ではないか。