そして冒頭でお伝えしたとおり、東京都はいままさに医療崩壊の入り口、“大阪のような状況”になろうとしている。そして、もちろんこれは東京だけの問題にとどまらない。東京に隣接する神奈川県・埼玉県・千葉県も感染拡大がさらに進み緊急事態宣言を要請する状況になっており、緊急事態宣言下の沖縄県もさらに感染が拡大している。また、先日五輪の警備のために兵庫県から派遣された警察官のクラスターが判明したが、直接的・間接的に五輪の影響でさらに全国に感染が拡大する可能性も非常に高い。
もちろん、医療従事者たちからも、医療提供体制の逼迫を訴える声が多数上がっている。
ところが、こうした深刻な局面にもかかわらず、菅首相は金メダリストにお祝いの電話をしたりツイートをしたり五輪人気に便乗する一方、コロナについてはほったらかしだ。きょうのぶら下がりでも、東京の感染者2848人を受けて「中止をする考えはないのか」と聞かれ、なんと「治療薬を確保した」などと詐欺まがいの宣伝文句を口にして、「中止の必要はない」と言い張った(この治療薬問題については、明日、詳しくお伝えする)。
さらに上述してきたとおり、メディアは五輪一色で、こうした専門家や医療従事者の警告も、医療逼迫も、政府の無策ぶりも、ここ何日もまともに報じられていないのだ。
それどころか、五輪礼賛・メダル礼賛にうつつを抜かし、人々にコロナの存在を忘れさせ、行動抑制どころか外出や旅行を後押ししているような状態だ。
戦中の翼賛報道になぞらえるわけではないが、少なくとも、メディアは五輪報道が間接的に感染拡大を助長しているという責任を自覚し、一刻も早くあらためるべきだ。
(編集部)
最終更新:2021.07.27 09:46