しかし、最もひどかったのは『報道ステーション』(テレビ朝日)だろう。
26日の『報道ステーション』(テレビ朝日)は、五輪バレーボール中継の影響で22時14分に始まったのだが、冒頭からスケートボード、柔道、アーチェリー、体操、卓球とメダルを獲った競技を、過去のインタビューやゆかりの人のコメント、松岡修造のレポートなど延々と大特集。五輪のくだりが終わったのは、なんと22時50分ごろ。番組の大半を使って、五輪報道を続けたのだ。
ここで台風8号の話題になり、やっとニュースが始まったと思ったら、ここでも「五輪に影響」などと、上陸するとされる東北や一般市民への影響よりも、五輪中心に伝えた。
そしてコロナ関連のニュースを伝えたのは、番組開始から実に約45分も経た23時前のこと。中等症患者が増えているという現状、医療逼迫の危険性を伝えたが、順番、割いた時間ともに大量の五輪報道に比べれば、扱いの差は明らか。これでは、感染拡大や医療逼迫の深刻さなど視聴者に伝わろうはずがない。
しかも、この後「黒い雨」訴訟の上告断念のニュースなどをストレートニュース的に短く伝えると、こう言ったのだ。
「さあ、ここからはスポーツです!」
いや、「ここから」も何も、ほんの10分前までさんざん東京五輪のニュースをやっていたではないか。そして、番組冒頭で伝えた以外の五輪競技やメジャーリーグの大谷翔平選手、高校野球、女子ゴルフのニュースを伝えた後は、お天気コーナーで再び台風情報を伝えると、そのまま番組は終了してしまったのだ。
ニュース番組を名乗っていながら、番組の大半を五輪報道に費やすとは。『報ステ』はもう『報道ステーション』じゃなくて、『五輪ステーション』『スポーツステーション』と名乗ったほうがいいのではないか。
しかも、『報ステ』がひどかったのは、『news23』と『news zero』がメダル報道とともに酷暑問題や路上競技の観客問題など五輪のマイナス面も扱っていたのに対して、『報ステ』はそうした批判的な視点が一切なく、能天気な五輪礼賛、メダル礼賛報道に終始したことだ。