実際、この検査のザルぶりは、東アフリカ・ウガンダの選手団の感染でも明らかになっている。
19日、成田空港に到着したウガンダの選手団9人のうち1人がPCR検査で陽性だったことがわかったが、残りの8人はPCR検査を誰も受けていない。まず、全員が唾液による抗原定量検査を受け、1人だけ陰性でなかったため、PCR検査を受けたところ、陽性であることがわかったのだ。
しかも、残りの8人は同じ飛行機に乗ってきたのに、「濃厚接触に当たるか公表できない」として、PCR検査もしないまま事前合宿地の大阪府泉佐野市へ夜行の貸し切りバスで移動している。
ちなみに、「バブル方式」で開催されたテニスの全豪オープンでは、錦織圭ら選手数十人の乗った飛行機で、乗員と選手以外の乗客で陽性が出たことから、選手47人が2週間の隔離、ホテルから出られず練習もできないという対応をとった。ジョコビッチ選手が隔離期間の短縮など要望するも、オーストラリア当局は却下している。
それに比べると、日本政府の対応がいかにずさんかがよくわかるだろう。おそらくこれからどんどん感染した関係者が入国してくるだろうし、大会が始まってから感染者が出ても、濃厚接触の判断を五輪優先にして、恣意的にゆるくしていきかねない。
バブル状態で実施しても、サッカー南米選手権では、65人を超える感染者が出ている。五輪は規模も参加者も参加国も桁違いに大きいうえ、このザルな感染対策を見ていると、五輪が感染再拡大の引き金になるのは必至、と言わざるをえない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2021.06.21 03:35