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「憲法のせいで入国待機期間が延長できない」はやはり嘘だった! 今頃10日間に延長 怠慢を憲法に責任転嫁する菅政権

首相官邸HPより


 またも菅政権の後手対応があらわになっている。昨日21日になって、インドなど6カ国からの入国者について、宿泊施設での待機期間を6日間から10日間に延長する方針を政府が固めたと報じられたからだ。

 あまりに遅すぎるとしか言いようがないだろう。4月26日には海外渡航歴のないインド型変異株の感染者が都内で見つかり、5月14日には東京医科歯科大学が「市中感染の拡大が始まっているとみることは可能」と指摘。昨日の国立感染症研究所の発表では、国内感染者は11人にのぼっている。

 インド変異株は感染力がイギリス型変異株よりも1.5倍、従来株の2倍以上とされており、インドの惨状が伝えられるなかで「早くもっと強い対策を打つべき」という指摘がなされてきた。実際、4月30日放送の『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)に出演した政府分科会メンバーの小林慶一郎氏は「(待機期間を)2週間にすべきではないかと私も政府に申し上げたが、これからどうなるか、検討されるかどうかもわからない」と発言。政府が提言を無視している状態であることを明かしていた。

 いや、それどころか、菅政権は信じられないような強弁で待機期間の延長を拒否してきた。というのも、「待機期間を10日にすべき」という野党からの提案に対し、菅政権は「憲法の制約がある」「私権制限の法律がない」と突っぱねてきたからだ。

それは、10日におこなわれた衆院予算委員会でのことだった。質疑に立った立憲民主党の枝野幸男代表は、インドを変異株の流行地域に指定したのが4月28日と遅きに失しただけではなく、政府は水際対策を強化したと言う ものの、インドなど3カ国からの入国者の宿泊施設での待機が3日から6日に延びただけだと指摘。「すべての入国者に対して10日間は宿泊施設でしっかり隔離し、その間、3回にPCR検査をおこなうぐらいの水際対策をやらないと変異株が入ってくる」とし、菅義偉首相に対して「総理、なぜ水際対策の抜本的強化やらないんですか? オリンピックのためですか?」と追及した。

 ところが、指名された菅首相は答弁席に立たず、代わりに出てきた田村憲久・厚労相は、こんなことを言い出したのだ。

「基本的にですね、憲法の制約上、移動の自由があるということはご承知のとおりだというふうに思います。これ、判例等々も出ております」

 憲法に「移動の自由」があるから隔離期間を10日することはできない……!? 一体何を言っているのだろう。憲法22条には〈何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する〉とあるが、感染拡大国からの入国待機はどう考えても「公共の福祉」の範囲内だ。

 厚労省自身が「新型コロナウイルスの潜伏期間は1〜14日間ほど」としていることから考えると、むしろ、科学的エビデンスを踏まえて十分な隔離期間を設け、インドからの入国者に対する不当な差別を生まないようにすることこそ、公共の福祉に合致すると言っていいだろう。

 それを憲法のせいで10日間にできないって、言っておくが、もし憲法のせいで宿泊施設での隔離期間を10日に延ばすことができないなら、6日だってダメなはず。言っていることがめちゃくちゃなのだ。

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