しかし、菅首相の姿勢はあいかわらずだ。今日の国会でも、五輪優先や国民軽視がダダ漏れになる答弁を連発した。
参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫参院議員が質問に立ち、「この状況のなかで、東京オリパラ大会、本当にやるんですか?」「開催をする、しない、その相談はしないということですか?」「国民の命を守る最高責任者の総理がこの危機的な状況をバッハ会長にせめて相談をするとも言えないんですか?」と、何度も菅首相に迫ったのだが、菅首相は何を聞いてもロボットのように、「開催にあたっては選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく」という文章を読み上げるだけ。
続いて、蓮舫議員は、検査や医療が五輪のために優先されて、いま以上に国民の命が危機に晒されると訴えるが、これについても、菅首相からは同じ言葉が返ってきただけだった。
蓮舫議員はさらに「オリパラ大会の指定病院に、オリンピックの選手と、日本人の搬送困難事由の人が来られた場合、どちらが優先されるんですか?」と菅首相に迫ったが、菅首相は関係のないワクチンの話をダラダラしたあげく「その可能性は極めて薄いというふうに思います」と言ってのけたのだ。
しかも、蓮舫議員による質問では、宮本亞門氏も語っていた「“お金がかからない五輪”の嘘」を物語る新たな事実も明らかになった。
コロナ対策のために、海外からの入国は五輪選手と関係者に限られるということになっているが、海外の要人についてはロンドン五輪や北京五輪並みに招待することで計画が進んでおり、その予算である「大会要人接遇関係経費」として、約44億円が計上されているというのだ。
しかも、要人一人当たりの接遇費はなんと5500万円にものぼるという。蓮舫議員はこうした予算を見直して、少しでも金額を圧縮すべきだと訴えたが、これについても、茂木敏充外相が「適正な額」と一蹴していた。
国民の間では、五輪中止を求める声がさらに広がっているが、おそらくこの政権が国民の悲痛な声に耳を傾けることはないだろう。
(田部祥太)
最終更新:2021.05.10 10:49