「反省」などと言っておいて、感染拡大期に“5人以上の大人数じゃないから”と開き直ったかのように会食に出かける──。ご存知のとおり、東京都はその後も感染者数が右肩上がりとなり、大晦日に1353人、年明け1月7日には2520人と衝撃の数字を叩き出した。無論、この数字は、コロナ対策のトップに立つ菅首相が忘年会に出かけるという「模範」を国民に示したことも大きな要因になったのは間違いない。
ようするに、菅首相自身が国民への呼びかけを堂々と破り、第3波の呼び水となるという「膿」そのものであったというのに、何の処分も受けず、いまでは何事もなかったかのように「膿を出せ」などと指示しているのである。
二階幹事長も同様だ。二階幹事長は今回の問題を受け、30日の記者会見で「皆の協力をいただいている役所。普通の標準的な常識があるんだろうから、しっかり反省して対処してもらいたい」と苦言。だが、「ステーキ忘年会」批判に対して、「飯を食うために集まったんじゃない」などと口にしていた人間が何を言うか、という話だ。
しかも、二階幹事長といえば、3月22日に自民党所属の国会議員に対して会食自粛の要請を緩和する通達を出したばかり。1月に出された通達では人数問わず「飲食を伴う会合への参加を控え、20時以降の不要不急の外出自粛」を求めていたが、今回の通達は〈大人数での会食を控え、感染拡大防止に最大限配慮するよう求める内容〉(東京新聞3月22日付)となっており、事実上の「会食解禁」だ。
このように、菅首相や二階幹事長が繰り広げた大人数忘年会の問題は、国民に注意や自粛を呼びかける立場にあるのにそれを破ったという意味では、厚労省の宴会問題とまったく同じ。いや、年末年始の感染爆発を考えれば、菅首相の行動が国民に与えた影響は計り知れないほど大きい。なのに、菅首相や二階幹事長には何の処分もなく、官僚は更迭処分を受けるというのは、あまりにも理不尽ではないか。