いずれにしても、自民党が『徹底検証「森友・加計事件」』を定価1500円で5000部購入していたとすれば、単純計算で750万円もの金が一気に版元の飛鳥新社に転がり込んできたことになる。割引があったとしても数百万円にはなったはずだ。
一方、それに先立つ選挙期間中には、前述したように同書の中吊り広告や新聞広告が大々的に打たれた。雑誌ならまだしも、中堅出版社が単行本の広告で中吊り広告を打つことはめったにない。交通広告を手がける会社が公開している料金表によれば、2、3日の短期でもJR山手線なら約180万円、東京メトロ全線ならば約250万円かかる。その上、新聞広告となれば、合計で少なくとも数百万円の金が必要なはずだ。
同書をめぐるこの問題について、リテラは当時、飛鳥新社で同書の出版にかかわった「Hanada」の花田紀凱編集長を直撃している。花田編集長は自民党や安倍官邸との連動については「下衆の勘ぐり」と完全否定したが、自民党が大量に小川氏の著書を大量購入したこと、それが5000部に近い数字だったことは認めた。
つまり、今回、裁判所から虚偽の事実、名誉毀損が14箇所も認定されたこのデマに満ちた安倍擁護本を自民党が選挙のために大量にまいたのはまぎれもない事実なのだ。選挙民を騙したという意味で、その責任は重大といっていいだろう。
もちろん、冒頭で書いたように、裁判は控訴されており、結果は確定したわけではない。しかし、一審の経緯を見る限り、結果が覆る可能性は低いといわざるをえない。また、今回の判決では、謝罪広告などが認められなかったためか、朝日側も控訴しており、場合によっては小川氏や飛鳥新社サイドにもっと厳しい判決が下る可能性もある。
判決が確定したら、朝日新聞やメディアは裁判結果だけでなく、この自民党の責任について徹底追求すべきではないか。
(編集部)
最終更新:2021.03.28 06:36