福田氏の神社ビジネスへの関与疑惑はほかにもある。たとえば、日本文化興隆財団が近年力を入れている事業のひとつに「鎮守の森を守る自動販売機」なるものがあるのだが、財団のホームページで事業協力企業の筆頭に記されているのが、飲料自販機大手のジャパンビバレッジ。ジャパンビバレッジといえば、「クイズに不正解だと有給休暇を与えない」なるブラックパワハラメール問題で世間を騒がせたこともあったが、福田氏はジャパンビバレッジの前身会社時代から一時期まで社長を務めていた。
また、財団の別の自販機設置事業では、ジャパンビバレッジでなく、メディアミックス社が絡んで利益を上げているケースもあるようだ。
神社本庁の不動産取引もこうした福田氏と神社本庁の関係がはじまりではないかともいわれている。
「福田さんと、メディアミックス社の現社長で神社本庁の不動産を格安で購入したディンプル社の高橋社長は、日大レスリング部の先輩後輩の関係。高橋社長が神社本庁に食い込めたのも、福田氏がきっかけではないかといわれています」(財団関係者)
そして、この福田氏もまた、神道政治連盟の打田文博会長と非常に親しい間柄だったといわれているのだ。
「田中総長と打田さん、福田さん、高橋社長の四者は完全に“グループ”として見られていました。打田さんや田中総長に利益が還流していたとは考えたくありませんが、少なくともメディアミックス社やディンプル社のビジネスの後ろ盾になっていたのは間違いないのでは」(前出・財団関係者)
さらに気になるのは、打田会長の政界人脈だ。打田会長の率いる神道政治連盟の国会議員部門である神道政治連盟国会議員懇談会の会長を安倍晋三・前首相が務めているが、打田会長はほかにも政界に幅広い人脈を持っているとされる。
「財団は2018年の7月に悲願だった公益財団法人の認定を受けたのですが、その後ろ盾となったのが、その年、福田さんの後任として財団の新理事に就任した、元官房副長官の石原信雄さん。その石原さんを財団に引き込んだのが、やはり打田さんだったと言われていて、そこには現役政治家の関与もあったのではないかと噂されています」(前出・財団関係者)
いずれにしても、神社本庁をめぐる闇はまだまだ深く、疑惑や不正は何一つ解明されていない。今回の判決は評価すべきだが、これで疑惑を幕引きさせてはならない。元幹部職員と神社本庁との裁判の行方も含め、メディアはこの問題を徹底追及していく必要がある。
(編集部)
最終更新:2021.03.21 10:31