ネトウヨ・極右論客の陰謀論、フェイク拡散はその後もどんどんエスカレートしていった。「世界同時緊急放送が行われる」「人民解放軍がアメリカ国境付近に展開」といったカルト発のフェイクニュースが毎日のように大量に拡散。さらには、なぜか三浦春馬の自殺をめぐるヘイトまがいの陰謀論と合体して、こんなツイートが大量に出回っている。
〈トランプさんと春馬くん、同じ相手と闘っていた気がする!〉
〈春馬くんの事があって色々調べ出し、日本の闇に気付き、トランプ大統領の正義に気付き、マスゴミの印象操作やコロナの嘘に気付きました。〉
〈春馬くんのこともトランプさんのことも諦めたら敗けですね!諦めません〉
〈春馬くんはトランプ大統領にコンタクト取ってて確実な方法で逃げたと。
〈春馬くんはQ と一緒にいてトランプさんと連絡とってるとか?!〉
〈トランプさんと三浦春馬さん、どちらも闇側のマスメディアによる情報操作をされているのです。〉
論評するのもばかばかしくなるが、トランプを擁護したい人たちが意図的に三浦春馬の自死を利用しているとしか思えない。
だが、アメリカと日本のネトウヨたちのこうした狂乱の一方、当のトランプ大統領は刑事訴追を恐れてトーンダウン。今後の動向はまだ不透明だが、大統領の椅子を空け渡し、20日、バイデン大統領は就任式を迎えることになった。
そのあとは、さすがに分が悪いと踏んだのか、不正選挙の陰謀論やANTIFAなりすまし論、最後はトランプが勝つという盲信も、以前ほどの勢いがなくなって、少々トーンダウン気味だ。百田氏もトランプが負けたら小説家として断筆すると宣言していたことをユーザーからつっこまれたが、「まだトランプは負けていない」とは言えず、〈忘れてたわ〉となかったことにしてしまった。
しかし、彼らが現実を見ないでフェイクをわめいているのは相変わらずだ。
門田氏は〈人権弾圧中国と闘い、過去最低の失業率で人々を救い、奇跡的な中東和平を実現し、1ドルを除き給与を教育機関等に寄付し、日本人拉致を国連で訴え、現役大統領最多得票を記録…多くの偉業に感謝〉と、あのレイシスト前大統領をまるで人権派のような美辞麗句で持ち上げ、謝意を述べた。
また、百田氏は〈ついにバイデンが大統領が就任した。中国の高笑いが聞こえるようだ〉、ほんこんは〈寅さんいなくなる C国出てくる この方々つくづくですね 同盟国との安全保障〉と、バイデン大統領と中国の癒着説をまたがなり立てている。
どうやら、連中はバイデン政権が大統領の就任式に初めて台湾を招待したことや、新国務長官がウイグル族への弾圧・虐殺を問題にしていることを、完全にネグってしまうつもりらしい。
あれだけがなり立ててきた「愛国」とやらよりも、トランプ支持がもっとも重要なメルクマールになってしまった日本のネトウヨや右派論客たち。そういえば、安倍政権時代も途中からネトウヨは政策が右派的かどうかより安倍首相支持かどうかで敵味方を峻別するようになった。もしかして、いまの日本の極右ってただのファンクラブなのかもしれない。
(編集部)
最終更新:2021.01.22 12:11