実際、『モーニングショー』への攻撃が安倍官邸の仕業であることを伺わせる事実は、まだある。じつは厚労省が『モーニングショー』にデマ攻撃を仕掛けたのと同じ5日の午後18時2分、自民党広報もこんな投稿をおこなっているのである。
〈3/4のTBS「Nスタ」で女性出演者が「新型のコロナであるため感染が新しいウイルスであり、私たちには基礎的な免疫がなく普通のインフルエンザよりも罹りやすい」と発言しましたが、厚生労働省は「季節性インフルエンザと比べて感染力は高くない」との世界保健機関(WHO)の見解を紹介しています〉
〈真偽不明の様々な情報が飛び交い、多くの皆さんが不安や疑問を感じておられるかと思います。
首相官邸や厚生労働省には #新型コロナウイルス に関する情報サイトが開設され、随時更新されています。ぜひご活用ください。〉
免疫や抗体の観点から「普通のインフルエンザよりも罹りやすい」と指摘しているだけなのに、自民党広報は「感染力」の話にすり替えて、「真偽不明の様々な情報」などとデマ扱いする……。やり口は厚労省や内閣官房とそっくりなのだ。
しかも、ここで自民党広報が取り上げた「女性出演者」というのは、岡田晴恵教授のこと。岡田教授はこの間、『モーニングショー』をはじめとする番組に出演しては安倍政権の対応が遅れに遅れていることを専門家の立場から指摘しつづけてきた人物であり、安倍官邸が疎ましく思っていることは想像に難くない。
さらに自民党広報のアカウントは、6日12時半に『モーニングショー』を名指しし、上述した内閣官房のいちゃもんツイートとほぼ同内容のツイートも投稿している。
『モーニングショー』では玉川氏や岡田教授らが安倍首相の後手後手対応を厳しく批判し、大谷医師が医療現場の混乱を生々しく伝えてきた番組だ。そうした安倍首相の対応批判の急先鋒である番組や人物を名指しし、フェイクニュース扱いする。これは安倍官邸が、安倍首相の新型コロナ対応批判を封じ込めるために、一気にマスコミ圧力をかける動きに出たということだろう。
事実、露骨なことに、国会でもそうした動きが見て取れた。というのも、5日の参院予算委員会で質疑に立った自民党の小野田紀美参院議員は、トイレットペーパー不足や日本国内感染者の数にクルーズ船感染者数を含めて1000人超えとNHKを筆頭にマスコミが報じていることを「事実と違う報道だ」と憤った挙げ句、総務省に対して「(マスコミを)指導しろ」「デマを流した人に罰則を」などと言い出したのである。
ようするに、『モーニングショー』や『Nスタ』、NHKが名指しされたのは見せしめで、「しっかり監視しているからな」「罰則もくわえるぞ」などと恫喝し、すべてのテレビ局・番組を萎縮させようとしているのだ。