しかし、問題はこの後だった。デマを拡散した安倍前首相に対して、植村氏サイドは抗議。投稿は「事実無根」「名誉毀損」であるとして、11月24日、記事の削除を求める内容証明を送った。
すると、安倍前首相は12月4日までに、上述のFacebookのコメントをこっそり削除してしまったのである。
これまで幾多の嘘が発覚しても開き直り、知らぬ存ぜぬを決め込むことを繰り返してきた安倍前首相。朝日新聞や野党についても、ネトウヨまる出しの誹謗中傷を多数発信・拡散してきたが、自らのFacebook投稿を削除するというのは異例といっていい。
この背景には「桜を見る会」問題で追い詰められているというのもあるだろうが、それ以上に、今回のデマは訴えられたら敗訴確実だからだろう。植村氏の代理人である神原元弁護士は本サイトの取材にこう話す。
「判決は植村氏の記事が捏造だとは一切認定していません。むしろ、裁判を通じて、植村氏の記事が捏造でなく、櫻井氏の記事のほうが真実でないことが明らかになっています。安倍氏の投稿は明らかに事実に反しており、名誉毀損にあたります。削除は当然ですし、こちらの削除要求に応じたということは、安倍前首相もそれを認めたということでしょう」
もっとも、安倍前首相は投稿を削除はしたが、なぜ削除をしたのか、Facebookで何の説明もしていない。植村氏サイドにも謝罪も説明も一切していない。
自分の歴史修正主義に都合のいいように事実を歪め、SNSでデマを拡散しながら、それがデマだと指摘され都合が悪くなると一転、攻撃相手に何の説明もなく、勝手に削除する。そのやり口は一国の首相経験者とは到底思えないものだ。
植村氏はこの削除を受けて「削除は間違いに気づいたからだと思うが、私への通知も理由説明も一切ない。安倍氏のフェイク情報は今も広範囲に拡散したままで、こっそり消せば免罪されるものではない」とコメント。今後も説明を求めていく姿勢を示したが、当然だろう。
むしろ、安倍前首相ら右派の歴史修正主義の嘘を広く世間に認識させるためにも、植村氏には、安倍前首相を相手に名誉毀損裁判を起こすことを強く提案したい。
(編集部)
最終更新:2020.12.08 06:16