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NHK『NW9』への圧力問題で菅首相が「私は怒ったことがない」と大嘘答弁! 実際は「頭きた、放送法違反って言ってやる」とオフレコ発言

 しかも、菅首相の場合は官房長官時代から、自分の意向通り動いた秘書官や官僚を重用することで、周囲がオートマティックに圧力をかける体制をつくりあげてきた。

たとえば、『報ステ』への圧力の際、編集長に電話をかけ続けた当時の中村秘書官は警察官僚で、刑事局長時代には安倍御用記者の山口敬之氏の準強姦罪での逮捕を直前でストップさせた人物だが、現在、警察庁ナンバー2の警察庁次長で、次期警察庁長官と目されている。

 また、同じく『報ステ』に「古賀は万死に値する」などのショートメールを送った当時の矢野秘書官は財務官僚だが、現在、次期財務事務次官が確実視されるポストの主計局長にある。

 ようするに、『報ステ』への圧力を担った秘書官2人とも、その後、警察庁の次期トップ、財務省の次期トップまで昇りつめているのだ。とくに矢野主計局長はもともと主税局畑で主計官の経験もなく財務省のメインストリームからは外れていたにもかかわらず、菅官房長官の秘書官を務めた後の、2017年の人事で官房長に引き立てられる。そして、森友問題で徹底して官邸を守り続けた結果、今年7月には主計局長に起用された。

 菅首相が、官僚の人事権を掌握することで、官僚を支配。自身の政策に異論を唱えた官僚を更迭し、イエスマンを重用してきたことは、菅首相自身が繰り返した公言してきたことだが、菅氏の意を受けメディアへの恫喝を担った中村氏や矢野氏らの出世を目の当たりにした他の官僚たちが、菅首相の歓心を買おうと、菅氏の気にくわないメディアに対して、我先にと圧力をかけ始めるというのは当然の流れだろう。
 
しかも、NHKに対しては、今回、明るみに出た山田真貴子内閣広報官による原聖樹政治部長へのクレームだけでは終わらない可能性が高い。というのも、菅首相は総務相時代からNHK改革掲げており、これを脅しの材料に上層部に直接、圧力をかける可能性が高いからだ。

 安倍前首相の息のかかった籾井勝人会長の支配が終わって、社会部を中心にした政権追及報道が若干復活したかに見えるNHKだが、昨年4月には、上述の国谷キャスターを降板させた張本人といわれる板野裕爾氏が専務理事に異例の復帰を果たしている。板野氏は学術会議任命拒否問題でも名前の上がった菅首相の側近中の側近、杉田和博官房副長官をカウンターパートとしており、〈ダイレクトに官邸からの指示が板野を通じて伝えられるようになっていった〉とのNHK幹部の証言もある(『安倍政治と言論統制』(金曜日)より)。このままいくと、安倍政権時代よりもっと強圧的な報道規制がしかれるのではないか。

 安倍政権は、官房長官だった菅首相が陰に陽に繰り広げてきたメディア工作により忖度が広がり、スキャンダルや疑惑が持ち上がっても批判的な報道が徹底してなされず、安倍政権は約8年もの長期政権となった。本サイトは、菅首相が生まれれば、メディア圧力はさらに激しさを増し、安倍政権以上に批判が封じ込められることは必至と予測していたが、まさにそれが現実となってあらわれようとしているのだ。

最終更新:2020.11.29 05:01

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