感染が拡大しても国の指標を満たしていないなどと強弁して「GoToトラベル」をやめず、さらにはクラスター発生をネグり、問題が明るみに出ると自治体に責任転嫁する──。言うまでもなく、“第2波”が到来した夏よりも冬は感染拡大が懸念され、すでにその兆候は出てきているのだ。そんな局面にあっても、菅首相は自身の肝いりであるために、人の移動を制限すべき局面でむしろ移動を促進する「GoToトラベル」をけっして見直そうとはしない。
そして、多くの人はこの国の状態に慣れさせられてしまっているが、忘れてはならないのは、欧米とは違って感染者が少ない東アジア地域で比較すると、日本の感染状況は最悪レベルだということだ。実際、これまでの人口10万人あたりの感染者数は日本が82人であるのに対し、韓国は53人、中国は6人(11月5日時点/日本経済新聞社)。新規感染者数の過去7日間のデータでも、人口100万人あたりの新規感染者は日本が49.6人であるのに対し、韓国は16人、モンゴルが5.8人、台湾は0.6人、中国は0.1人(11月9日時点/札幌医科大学ウェブサイトで公開されているデータより)。日本は、東アジアでぶっちぎりの感染者を出しているのだ。
こうした圧倒的な感染者の多さの背景には、「GoToトラベル」の影響、さらに政府が人の移動を促していることが要因となった気の緩みが大きく影響しているはずだ。しかし、東アジアの他の国や地域と比べればわかるように、感染者が増加するなかで「旅行に行け、外食をしろ」と促進する政府は異常というほかない。
何ひとつ実行性が伴っていない「感染拡大は絶対に阻止」「国民のみなさんの命と健康をしっかりと守り抜く」という菅首相の空々しい台詞。「GoTo」の中止・中断もなくこのまま冬に突入すれば、この国は一体どうなるのだろうか。
(編集部)
最終更新:2020.11.09 10:41