首相官邸HPより
学術会議任命拒否問題の説明をせず、国会を開いて所信表明すらせず、外遊に出かけていった菅首相。しかし、初外遊でもさっそくそのポンコツぶりを露呈している。
たとえば、ベトナム・日越大学でスピーチを披露したのだが、それがひどかった。
冒頭ベトナム語でリップサービスしたのだが、その内容が「私はベトナムが好きです」「私はASEANが好きです」。現地の言葉で挨拶するのはいいが、芸能人の海外公演でももうちょっと気の利いたことを勉強してくるだろう。だいたい「ASEANが好き」って、意味がわからない。
言うまでもなく「ASEAN」とは「東南アジア諸国連合」という地域協力機構のことだが、菅首相は「ASEAN」を「ヨーロッパ」みたいな地域名か何かと勘違いしているのだろうか。今度はパリに行って「OECDが好き」とか、ブリュッセルに行って「NATOが好き」とか言い出すんじゃ……と心配になってくる。
そのあとは日本語でスピーチしたのだが、例の「雪深い秋田で私は農家の長男としてとして〜」という総裁選でも繰り返していた叩き上げ話を、出来の悪いロボットのように繰り返す。いちおう自身の立身出世譚を、日本の発展、そしてベトナムの発展になぞらえたりもしていたが、それにしても浅すぎるだろう。ベトナムについて、「世界の成長センター」という認識しかなく、ベトナムの文化や歴史に対する理解も興味もまったく感じられない。
おまけに「ASEAN(アセアン)」と言うべきところを「アルゼンチン」と言い間違える始末。機構名と国名でそもそもレイヤーが違うし、わざわざ「ASEANが好き」とか言っておいて、「ア」しかあってない。
ハッキリ言って、これは外交儀礼以前のレベルで、一国の総理大臣としてあまりにお粗末だ。恥ずかしすぎる。
しかも、菅首相の外交でのポンコツぶりはこれだけではない。たとえば、トランプ大統領がコロナに感染したときのツイートもひどかった。
〈Dear President Trump, I was very worried about you when I read your tweet saying that you and Madam First Lady tested positive for COVID-19.〉
この英語が稚拙だと話題になっていたが、実は同時に投稿していた日本語バージョンはもっとひどかった。
〈親愛なるトランプ大統領へ、貴大統領とメラニア夫人がコロナに感染したとのツイートを見て心配しました〉
英語ツイートはまるで自動翻訳しただけみたいなどと指摘されていたが、日本語バージョンは「親愛なるトランプ大統領へ」「貴大統領とメラニア夫人」とか自動翻訳でもこうはならない。どうやったらこんな日本語が書けるのかというような、珍妙きわまりないものだったのだ。
もちろん、菅首相本人がすべてのスピーチを自分で考えたり、ツイートを投稿しているわけではないだろうが、菅首相自身がスタッフを決定し、このクオリティで問題ないと判断しているのだから、これはイコール菅首相に知性のかけらもないということだ。