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全米決勝進出! 大坂なおみの「黒人差別抗議マスク」に冷ややかな反応しかしない日本のマスコミとスポンサーの意識の低さ

 こうした行動に、アメリカや日本のネトウヨから「スポーツに政治を持ち込むな」「日本には差別はない」などとクソリプが多数送りつけられたが、大坂選手は敢然と反論、口をつぐむことはなかった。

 7月にも「Esquire」に寄稿し、ジョージ・フロイドさんの死の数日後にミネアポリスに飛んでいたことを明かし、「差別主義者でない」というだけでは、十分じゃない。私たちは「反差別主義者」でなければならない」と語っていた。

 さらに8月23日にウィスコンシン州ケノーシャで3人の子どもを連れた29歳のアフリカ系男性ジェイコブ・ブレイクさんが、背後から至近距離で警察官の銃撃を受け半身不随の重症を負うという事件が起きると、大坂選手はそれまでにもまして大きな行動を起こす。

 全米オープンの前哨戦であるウエスタン&サザン・オープンでベスト4まで勝ち進んでいた大阪選手は、8月27日に予定されていた準決勝をボイコットすることを表明したのだ。

〈私はアスリートである前にひとりの黒人女性です。黒人女性として、私のテニスを見てもらうことよりも、いま緊急に注意を払うべき重大な問題があると感じています。
私がボイコットしただけですぐに何かが大きく変わるなどとは思っていませんが、白人がマジョリティを占めるテニス界で対話を始めることができれば、正しい方向へ向かっていくための一歩になると考えます。
警察の手により黒人が虐殺され続けるのを目にすることは、正直言って、吐き気がします。
数日ごとに(黒人犠牲者の名前の)新しいハッシュタグが生まれることに疲れきっていますし、何回も何回も同じ話を繰り返していることにヘトヘトです。いったいいつまで繰り返されるのでしょうか。
#JacobBlake, #BreonnaTaylor, #ElijahMcclain, #GeorgeFloyd〉
(英語バージョンを編集部で翻訳したもの)〉

 実は、大坂選手は、6月に差別への抗議を発信するなかで、テニス界の動きの鈍さを気にするような投稿をしていた。それはおそらく、声明にあるようにテニス界では白人がマジョリティであることも無関係ではなかっただろう。ジェイコブ・ブレイクさん銃撃をめぐっては、NBAバスケットボールなど他競技でも、チームとして抗議のボイコットの動きはあったが、白人がマジョリティである競技で、たったひとりでこうした行動を起こすことは、大きな勇気が必要だったことは想像に難くない。もちろん棄権はランキングに影響するなど、選手としてのリスクも小さくないことは言うまでもない。それでも大坂選手は「テニスより大事なことがある」と、抗議を表明したのだ。

 この大坂の勇気ある行動を受け、ATP(男子プロテニス協会)、WTA(女子テニス協会)、USTA(全米テニス協会)は連名で「テニス界は結束して、人種的不平等や社会的不公正と対峙する」とする声明を発表。大坂の試合も含め27日に予定されていたすべての試合を、翌日以降に延期することで、大坂の反差別に連帯した。

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