しかし、問題は誰が次の総理になるかではなく、いまのマスコミの態度だろう。そもそも、菅官房長官にしても麻生副総理にしても、この間の安倍政権の行政私物化と弱者切り捨ての超A級戦犯なのだ。麻生副総理は森友問題の公文書改ざんや財務省事務次官のセクハラ問題の責任者で、消費税増税を推し進めた中心人物。菅官房長官はカジノ法、黒川弘務・元東京高検検事長の定年延長や検察庁法改正案をゴリ押しした張本人だ。コロナ対応は当初、外されていたが、「GoToキャンペーン」の強行などは復権後で、完全に菅官房長官の責任である。
それが“ポスト安倍”として有力候補になったとたんに、メディアが「番組に出てください」と尻尾を振るというのは、どういうことなのか。
しかも、番組でこうした問題をきちんと追求するのかと思いきや、言い分を言わせっぱなし。菅官房長官を出演させた『報道ステーション』も一応、「GoToキャンペーン」や国会を開かない問題を質問したものの、菅話法で返されると、ほとんど反論できずそのインチキな主張を垂れ流した。『報ステ』はかつて、菅官房長官から露骨に圧力をかけられたことがあるが、メディアへの圧力問題にはふれることすらできなかった。
いや、これは菅官房長官を出演させた番組だけではない。少し前は、コロナ問題の失政を追及していたワイドショーがここにきて批判をトーンダウンさせ、田崎史郎氏や平井文夫・フジテレビ上席解説委員ら安倍応援団の政権擁護の声が再び大きくなっているが、これも「菅政権誕生」の空気は影響しているといわれている。
「菅さんは批判報道に露骨に圧力をかけてくるという強面の評価がある一方で、恵(俊彰)さんや田崎さんなど、メディア関係者にもネットワークを張り巡らしていますからね。その菅さんが次の総理になる可能性が高いとなると、やはり、にらまれたくないということで、腰が引けてしまうところはある」(ワイドショースタッフ)
安倍首相が退陣したとしても、メディアがこういう姿勢であるかぎり、日本のひどい政治状況が変わることはないだろう。
(野尻民夫)
最終更新:2020.08.25 10:24