さらに、新型コロナの影響で大きな煽りを受けているのは低収入の非正規雇用者だが、消費税は低所得者であるほど負担が重くなる逆進性がある。つまり、いま消費減税をおこなうことで、コロナの影響を大きく受けている生活が苦しい人たちの負担を減らすことができるのだ。
ところが、この国は感染拡大の最中に、感染をより広げる「Go Toトラベル」などという世紀の愚策に税金を注ぎ込んでいる上、コロナを理由に「増税するべき」などという意見が政府の審議会から飛び出す始末。いや、それだけではない。政府税制調査会では、「増税」を口にした熊谷氏のみならず、土居丈朗・慶應義塾大学教授もまた、こんなことを主張していたからだ。
「せっかく10%まで税率をあげて社会保障の財源ということが国民にも合意を得ながら税率をあげてきて、ところがその消費税率の引き下げというものが、まだいまだに待望論のようなものがあるわけですけれども、むしろ消費減税をすることによって格差拡大を助長するということをまず国民にしっかりと訴えるべき」
世界の国々が減税措置をとるなか、「増税すべき」「減税は格差を助長すると国民に訴えろ」などと主張する──。この世界との逆行ぶりは、検査の問題とも重なる。世界の多くの国や地域が検査数を増やすことで感染を封じ込めようとし、実際に成果もあげているが、人口100万人あたりの検査件数のランキングで、世界215の国・地域などのうち、日本は155位(7日時点)。目もあてられない状況となっているからだ。
今回の「増税すべき」という意見が出たことを伝えた時事通信の記事をリツイートしたひろゆき氏は〈庶民は生かさず殺さずで、増税するのは江戸時代から変わってないですね〉とつぶやいていたが、検査の問題しかり、政府の審議会で増税が叫ばれることしかり、ようするにこの国において国民は虫けら同然にしか扱われていないということなのだろう。
(編集部)
最終更新:2020.08.08 12:09