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三浦瑠麗の〈#検察庁法改正案に抗議します〉攻撃の恥ずかしすぎる間違いとスリカエ詐術を徹底検証! 不勉強なのは安倍応援団のほうだ

 検察庁法の改正は一昨年、人事院の勧告によって国家公務員の定年延長に伴い検討が始まった。検察庁は当初「検察官の定年延長は不要」という姿勢を示していたが、その後、定年延長に同意。昨年10月末、内閣法制局が審査を完了していた検察庁法改正案では、〈検察官は、年齢が六十五年に達した時に退官する〉という条文が明記され、改正内容の説明でも〈検察官の定年年齢を65歳に引き上げる〉と書かれていた。ここまでは官邸の関与も、黒川検事長の勤務延長問題も関係がないし、誰もそのことを批判していない。

 問題は、1月31日に内閣が黒川氏の定年延長を閣議決定した後、この法案に新たな規定が加えられていることだ。

 昨年10月の法案では、最高検次長、高検検事長、地検検事正ら検事総長を除く幹部は63歳になると役職を退くという「役職定年制」が設けられていた。言っておくが、役職定年制は、三浦氏の言うような検察官だけ定年を63歳のまま据え置くというようなものではなく、その年齢になると役職を退きヒラの検察官に戻るというだけで、検察官の定年が65歳まで引き上げられることには変わりはない。

 一般職の国家公務員については、この役職定年制とともに、特例で役職を続行する規定があるが、このときの法案ではその例外規定は設けられなかった。

 当然だろう。検事長などの検察幹部は一般職の国家公務員とはまったく違って、公訴権と捜査権という強大な権力を持つ組織を率いる立場であり、役職期間をほかの公務員よりも厳しく設定する必要がある。

 実際、当の法務省も昨年秋の法案検討の際に、役職定年の例外について「63歳以降も続けさせる例外規定は必要はない、それによって公務の運営に著しい支障が生じることはない」という見解を出していた。今回、松尾邦弘・元検事総長ら検察OBが定年延長に反対する意見書を提出する動きを見せているのも、同様の理由からだ。
 
 ところが、今年3月に出てきた改正案には、内閣や法相が認めれば、特例として役職定年の63歳になった後もその役職にとどまれるという例外規定が加えられていたのだ(検察庁法改正案22条5、6項など)。

 さらに、検事総長を含むすべての検察官について、やはり内閣や法相などが認めれば、65歳になってもその役職のまま定年退職を先送りできる「定年延長制度(勤務延長制度)」も導入されていた(同22条2など)。

 これらが、黒川検事長の定年延長と連動しているのは修正された改正案に添えられた説明資料「案文修正の経緯及び概要」に〈今回、検察官についても現行国家公務員法第81条の2の規定により退職するもの(中略)であって、勤務延長制度(中略)が適用されるものと整理したことから、(中略)勤務延長制度を踏まえた新たな修正を行うこととなった〉とあることからも、明らかだ。

 安倍政権は黒川検事長を検事総長に据えるため、定年延長を閣議決定する際、特別法の検察庁法ではなく一般法の国家公務員法を適用すると言い出したが、それは特別法の優先というこの国の法運用の原則をひっくり返すありえないものだった。そこで、これを正当化するため後付けで、検察庁法改正案に幹部が役職にとどまれる修正が加えられたのである。

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