三浦瑠麗Twitterより
芸能人や有名人も続々参加するなど、前代未聞の広がりをみせた〈#検察庁法改正案に抗議します〉。しかし、ここにきて、この批判を抑え込もうという動きが露骨になってきた。加藤清隆、竹内久美子、百田尚樹らネトウヨ論客が「中国の陰謀」「広告代理店が黒幕」というトンデモを叫び始めたことは先日、紹介したが、それ以外でも、安倍応援団やネトウヨがこんなことをがなり立てている。
“検察庁法改正案は公務員の定年延長が決まったから出てきただけ、黒川検事長の定年延長は全くの別問題”
“不勉強なまま検察庁法改正案と黒川検事長の問題を混同している”
“#検察庁法改正案に抗議しますはバカな芸能人が無知をさらけ出した”
開いた口が塞がらない。詳しくは後述するが、検察庁法改正は明らかに、安倍政権が自分たちの“番犬”である黒川弘務・東京高検検事長を検事総長に据えるため、違法に定年延長させたことを後付けで合法化しようというものだ。しかも、安倍政権はそのために公務員の定年延長や検察庁法改正をめぐるこれまでの議論の方向性をひっくり返し、政権が恣意的に検察幹部や検察官の定年を左右できる法律にしようとしている。
声を上げた芸能人たちはその問題をまっとうに指摘している。それを「検察庁法改正案と黒川検事長の定年延長は関係ない」「公務員の定年延長議論は前からあった」などと言うほうが、無知、フェイクではないか。
だが、こういうことを主張しているのは、頭の悪いネトウヨだけではない。実は自称国際政治学者・三浦瑠麗センセイも、10日から11日のお昼前にかけて、この検察庁法改正案を擁護・正当化するツイートを20ツイート以上連投したのだが、約3000文字に及ぶその内容は、ネトウヨのフェイクと大差ない間違いだらけのシロモノだった。
安倍応援団が振りまく〈#検察庁法改正案に抗議します〉への反論がいかに詐術と嘘、デタラメに満ちたものであるかをはっきりさせるためにも、三浦瑠麗センセイのツイートを検証してみたい。
三浦センセイの主張で最大の問題なのは、初っ端のこのツイートだ。
〈公務員の定年を65歳にすることの是非は別途論じたら良いと思うけれども、検察官だけ定年を短くすべきという意見が多数とは思えない。政権に対する諸々の信頼感のなさが検察庁法改正「だけ」に反対する世論をうんでいるのだけれど、ほかの公務員どうするのかまで含め論じてくださいね。#検察庁法改正〉
三浦センセイに聞きたいが、「検察官だけ定年を短くすべき」などという主張をしている人間っていったいどこにいるのか。いま批判されている問題は、検察官全般の定年延長ではなく、安倍政権が幹部の人事を恣意的にコントロールできる規定を検察庁法改正案に入れてきたことだ。それを“国家公務員の定年延長には反対せず検察官の定年延長にだけ反対している人たち”がいるかのような誘導は、典型的なストローマン論法ではないか。
しかも、三浦センセイが悪質なのは、検察庁法改正案が歪められた経緯や本質的な問題点を完全にネグっていることだ。意図的なのか、本当に無知なのかわからないが、せっかくなのできちんと解説しておこう。