残念なことに、多くの誤った情報は善意ある人々によっても広められてしまう。まさに今回の新型コロナの例のように、互いに助け合おうとした家族や友人が、よく吟味しないままに情報をシェアしたことにより、多くのフェイクニュースが現実に拡散してしまったのだ。
ウイルスについての知識の欠如は、フェイクニュースや陰謀論の拡大を促進する。矛盾した信頼性の低い情報が増殖すると、真実は犠牲者となる。人々の多くは、真偽を見極める判断力を放棄するようになるからだ。
アメリカの非営利のジャーナリズム学校であり研究センターであるポインター学院の発表によると、新型コロナが最初に発見されて以来、誤報の3つの大きな波が生じた。
(https://www.poynter.org/fact-checking/2020/coronavirus-fact-checkers-from-30-countries-are-fighting-3-waves-of-misinformation/)
第一の波として生じたのは、このウイルスはすでに知られているものであり、2019年にワクチンは開発済みだという主張だ。第二のデマの波は台湾で拡大した。中国と近接しているため、先駆けてウイルスに晒されたからだ。人々は身を守るためのおかしな方法をシェアしていた。ステロイドやエタノールや塩水が症状に効くといったデマも広がった。
第三の波は、ウイルスの起源に関わるものだ。コウモリのスープを食べる中国人に由来するというウソや、米軍がつくったウイルスを米兵が中国でばらまいたといった陰謀論が拡散した。また、ロシアのソーシャルメディアが古い防疫施設の写真を発信しながら、アジア起源の新型コロナウイルスはアメリカが現地に置いている自らの実験室からばらまいたものだと、喧伝する例もあった。