番組ではまず、「グレーゾーン遺体」を「PCR検査を受ける前に肺炎で死亡し、感染が疑われる中で運ばれる遺体のこと」だと説明。
そのあと、「葬儀会社は深刻なリスクに手探りの対応を迫られている」という解説で、福岡市内の葬儀業者が実名・顔出しでVTRに登場し、こう口を開いたのだ。
「病院の方から『ひょっとしたらコロナ感染している可能性がありますよ』というふうに告げられた ご家族様からのお電話だったんですね」
ようするに、コロナ感染が疑われながらPCR検査を受けていないまま、搬送されてくるグレーゾーン遺体があるという証言である。
さらに番組では、この葬儀業者が先日、病院から仲介業者を通じて依頼されたこんなメモも映し出したが、そこにはこんな文言が書き連ねられていた。
〈コロナ疑い 福岡市の方 検査はしてない 検査して陰性の場合−受け入れOK 陽性の場合−上司に確認〉
番組ではこのメモの画像に、「コロナウイルスに感染している可能性があるものの、PCR検査を受けておらず陽性か陰性かわからないという内容でした」というナレーションをかぶせていたが、たしかにこれも「グレーゾーン」遺体の存在を物語る証拠と言っていいだろう。
このケースでは、葬儀会社は病院や保健所に相談しPCR検査を行ったうえで遺体を搬送するよう要請したというが、そうした対応をしないまま、荼毘に付されてしまう遺体も少なくないと考えて間違いない。
実際、番組のスタジオでは、医療関係者の声として「遺体へのPCR検査は救命を優先する観点から限界があるほか、遺体への検査というのは遺族から要望があることが原則で、病院側が検査を勧めたり、独自に検査を行うことはない」という決定的な証言も紹介された。