いや、西浦教授の分析の悪用は、安倍首相も同じだ。前述したように、2週間の様子見の発端になったのは、緊急事態宣言の記者会見で安倍首相が「8割の接触を避ければ、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」という発言だった。
この発言はやはり、西浦教授の分析をベースにしているが、しかし、前述したように西浦教授は「2週間後にピークアウトさせられる」などとは言っておらず、1カ月後に効果が出てくる可能性があると説明しているだけだ。それを安倍首相は微妙にごまかして、休業要請見送りの口実に使ったのである。
自分たちが補償を払いたくないがために、独断で“2週間の様子見”を決めたばかりか、まったく逆の主張をしている専門家の意見を歪曲して、悪用する。これはほとんど犯罪行為だろう。
しかも、安倍政権はこの「専門家の意見を悪用した嘘」をまったくなかったことにするつもりらしい。西浦教授が、休業要請の2週間延期は自分の提案ではないと否定し、すぐに休業要請すべきだと主張した一連のツイートを、すべて削除してしまったのだ。そして、田崎氏も西村大臣も安倍首相も、自分たちがついた嘘を未だ訂正していない。
ただ、西浦教授はよほど腹に据えかねているのか、きょうも再びこんなツイートをした。
〈仕事なので前を向きますが。昨日の「西浦が2週様子を見てから休業補償」と言ったという田崎=西村ラインの嘘話(さて誰が本当の謀略者でしょう)、本日の「厳密には6割だけど」という決した自分が発していないタイトル、など罠だらけの中で僕たちは生きています。(後略)〉(原文ママ)
安倍政権のインチキは重々承知しているつもりだったが、国民の命が危機にさらされている状況でまだこんな手法を使うとは……。改めて未曾有のウイルス感染がとんでもない政権のときに起きたことを呪わずにはいられない。
(編集部)
最終更新:2020.04.10 04:11