つまり、田崎氏の言う専門家というのは、厚生労働省のクラスター対策班メンバーの西浦博・北海道大学教授のことで、「2週間の様子見」は、その西浦教授の意見を、西村大臣が自治体に伝えたものと明言したのだ。
ところが、それから数時間後、当の北大・西浦教授がこんなツイートをして、田崎氏の発言を真っ向から否定した。
〈Explicitに言わないほうですが休業補償2週待つっていうニュース、耳を疑いました。都知事のようにガンガン閉めて伝播が止まるのですが。。それで自分がSuggestしたことのようにされている旨を連絡受けました。(後略)〉(9日15時43分)
さらに、その少し後には、田崎氏を名指しするかたちで、こうつぶやいたのである。
〈良かった。否定ニュースが上がっていた。ということは田崎さんのソースは官◯ですね。ぷんぷん。休業は補償つきで今すぐやらないといけません。東京は重症患者が増えていて。。〉
西浦教授は、そのあともこう連続ツイートしていた。
〈少し怒りつつミーティングしましたが知事会での勘違いと説明受けました。放置すると単体専門家が言ったことになる危険な構造ですね。朝の某ニュースの方々は面識ございません。困るなあ〉
〈一切待たずに閉めるべきを閉めていただけるように伝達してきました。うーん。〉
つまり、西浦教授は「2週間の様子見」を自分のSuggest(提案)だとした田崎氏の解説を完全否定しただけでなく、「休業要請を2週待つ」という方針を真っ向から批判。逆に小池知事の即刻休業要請という方針を評価し、休業要請は補償つきでいますぐやらないといけないと断言したのだ。
実際、西浦教授は感染拡大の予測シミュレーションを発表し、NHKの取材などでも「接触を8割減らすことで、対策が長引くことを避け、社会や経済へのダメージを最小限に抑えることができると考えてほしい」(NHKニュース8日付)と呼びかけていたが、外出自粛だけで2週間で効果が出る、休業要請をしなくていい、などと一言も言っていない。
むしろ、「夜の接待飲食の店や飲み会で使う居酒屋、ライブハウスやスポーツジムなどでの接触は、100%に近い形で減らしてもらいたい」という説明をしている。
効果が出てくる期間についても、“接触を8割減らすことができれば、2週間ほどで1日の感染者数の数が落ち着きはじめ、さらに2週間たった1か月後には効果が出てくることが期待できる”、つまり1カ月後に効果が出てくる可能性があると説明しているだけ。にもかかわらず「2週間の様子見を西村担当大臣が自治体に西浦教授の意見として伝えた」などと言い張るとは。完全にデマではないか。