「4日間自宅で経過観察」という方針には、本サイトや『モーニングショー』など一部メディア、岡田晴恵教授や大谷義夫医師などの多くの専門家、何より多くの一般国民から疑問の声が上がっていた。
ところが、上述のように安倍応援団や政府御用メディアに限らず、一部専門家やBuzzFeed Japanの岩永直子記者なども、「重症者重視の方針」「検査拡大は不要」として、「冷静になれ」「エビデンスを見ろ」などとしたり顔で解説し、そうした批判の声を封じ込めようとしてきたのだ。
しかし実際は、「4日自宅で経過観察」という基本方針は医学的エビデンスに基づいた基準などではなく、単に検査能力の問題だったのである。エビデンス、ファクトを見ていないのは、一体どちらなのか。
そういえば、厚労省は、CNNの報道に対してツイッターで〈新型コロナウイルス感染症の「相談・受診の目安」が、「PCR検査」の能力との関係で厳しく設定されているとの報道がCNNなどでありました。しかしながら、両者は別のものです〉などとイチャモンをつけ、「日本だけが相談・受診のハードルを高く設定したのは、政府のPCR検査体制の能力が低いからではない」と主張していたが、これも『モーニングショー』に対する反論同様、完全にデマだったということだ。
別稿であらためて詳報したいが、「検査拡大すると医療崩壊する」というのは、「原発止めると、江戸時代みたいな生活するしかなくなる」に共通する、非論理的・非科学的なものだ。
「医療崩壊」論者が持ち出す、イタリアや韓国の例も、事実と違う。イタリアが医療崩壊しているのは、検査の多寡の問題ではなく、医療削減策によりそもそも医療体制が脆弱になっていたことが大きい。検査をやりすぎて医療崩壊したなどと日本メディアがバカにしていた韓国も、死者数の低さを見ればわかるように大邱など一部地域が危機的だったのを除けば医療崩壊状態とは言えず、実際ここにきてピークアウトしつつある。国内でも、「政府の基本方針には従わない」と知事が公言し、積極的に検査をした和歌山はピークアウトしている。
感染拡大を防ぐためできるだけ検査して感染者を見つけ出すという方針を打ち出している国や地域は少なくなく、実際、ヨーロッパ各国やアメリカにも日本は検査件数を追い越されつつある。
医療崩壊を避けるには、陽性者を一律入院ではなく、災害現場におけるトリアージのように症状や危険性に応じて、重症者を優先的に入院、軽症者は自宅待機か病院ではない隔離用施設と腑分けしたり、検査のパンクを避けるために年齢や症状によって優先順位を整理るなど、対策を取ればいいではないか。
当の専門家会議の副座長が、検査のハードルをあげていたことに医学的エビデンスはなかったことを明言したのだから、一刻もはやく検査体制、治療体制を整え、検査拡大するべきだろう。
そうした現実的な対策を考えず、「検査拡大すれば医療崩壊する」などと思考停止している連中こそ、実際に起きてもいない「患者殺到」「医療崩壊」を騒ぎ立てるパニック状態に陥っていることを自覚したほうがいい。
(編集部)
最終更新:2020.04.30 05:35