しかし、いずれにしてもひどいのは、田崎氏が会社勤めの人への半分、たった4100円の助成を「過去なかった補助」だと胸を張り、「高いほう」の東京の最低賃金を根拠にしてるんだからありがたく思え、とばかりに正当化したことだろう。田崎氏は本気でこんな金額で補償になると思っているのか。
その生活者としての視点のなさには呆れるしかないが、しかし、田崎氏のこの姿勢は安倍政権のフリーランスへの姿勢に共通しているものでもある。
そもそも、政府は世間の声に押されて休校措置にともなう助成金制度を打ち出したあとも、フリーランスについて補償するつもりはなかった。菅義偉官房長官も3日の会見で、雇用関係がないフリーランスや個人事業主は「対象とならない」と述べ、代わりに貸付制度があると説明。「なぜフリーランスは貸付なのか」と強い批判を浴びていた。
さらに、安倍首相にいたっては、田崎氏とまったく同じようなトンデモ答弁をしていた。同じく3日の参院予算委員会で、共産党の小池議員から「サラリーマンの親には給与助成をする。フリーランスや自営業者は貸付をする。おかしくないですか?」として質問され、安倍首相は口ごもりながらこう答えたのだ。
「事業主等についてはですね、まさに、経営者として経営が成り立つように継続できるような支援をおこなっていくことについては、これは、資金繰り等において、支援をしていくということであります。被用者については、まさに、企業等にですね、有給休暇等を取ることを可能とするよう促すとともに、また、中小規模事業者のみなさんについてもですね、この、その、そこの被用者のみなさんの給与の減少、あるいはまた、アルバイトやパート労働者のみなさまにおける収入の減少に対しても、給付というかたち等も含めて対応していきたいと考えております」
そう、安倍首相は田崎氏と同じように、フリーランスとアルバイトやパート労働者の区別がついていなかったのである。この答弁には小池議員も思わず「フリーランスっていうの、よくわかってらっしゃらないように思うんですけど」とつっこんだほどだった。
ところが、こうした批判に安倍政権が慌て出す。6日になって菅官房長官が突然、厚労省と財務省に「フリーランスの対応はどうにかならないのか」と、緊急対応策第二弾に盛り込むことを要求(朝日新聞デジタル11日付)。たった4日間の突貫工事で決めたのが、今回の給付だったのである。
しかし、その4100円という安さを考えても、安倍政権がフリーランスを差別し、会社勤めより一段低い存在と見ていることは明らかだ。安倍首相はその理由について、昨日11日の参院本会議で「働き方や報酬は多種多様で、迅速に支援を行う必要がある中で、非正規雇用の方への給付とのバランスを考慮した」などと、非正規雇用の半分くらいが妥当なんだとでもいわんばかりの答弁をしていた。