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安倍自民党が新型肺炎の不手際対応を「憲法に緊急事態条項があれば」と改憲にスリカエ!玉川徹は「問題は政府の能力」「どさくさ紛れ」と批判

31日放送『羽鳥慎一モーニングショー』に出演する玉川氏


 安倍政権が新型コロナウイルスによる肺炎への対応の杜撰さ、遅れを露呈させつづけている。安倍首相は今朝になって感染症法に基づく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令施行を2月7日から明日に前倒しすること、中国・武漢からの帰国者のチャーター機利用の自己負担を政府が負担にする方向で検討すると発表したからだ。

 本日31日、本サイトでもお伝えしたように、政府は第一便のチャーター機で帰国しホテルでの経過観察を希望した帰国者に対して部屋数不足を理由に「相部屋」を強要し、相部屋になった人のなかから2人に感染が確認されるという事態を招いた。さらには経過を観察するために必要な体温計まで足りておらず、昨日15時までは検温できなかった人がいたことも発覚している。

 安倍政権には危機管理意識が欠如しているとしか言いようがないが、しかし、そんな後手後手の対応をしておきながら、安倍自民党は問題をすり替え、「憲法に緊急事態条項があればこんなことにはなっていない!」と大合唱をはじめている。

 たとえば、29日には自民党の中谷元・元防衛相が谷垣グループの会合で、政令施行の2月7日まで強制入院措置が取れないことに触れ、「法律を守り人が死ねば元も子もない。非常事態や緊急事態の場合は検査、隔離、監視、拘束する必要がある」「法律で対応できれば一番いいが、できないとなれば改憲議論が必要だ」と述べたという(産経ニュース1月29日付)。同様に、伊吹文明・元衆院議長も30日におこなわれた二階派の会合で、「緊急事態の一つの例。憲法改正の大きな実験台と考えた方がいいかもしれない」と話し、「(施行までに)周知期間を置かなくてもいいことにするためには、憲法を変えてもらわないとできない」と言及した(東京新聞1月31日付)。

 また、松川るい参院議員も昨晩、〈予算委では、新型コロナウィルスについて指定感染症の施行を早めるべきとの声が相次ぎました。憲法に緊急事態条項があれば!〉とツイート。さらに本日午前には、小泉進次郎環境相が会見でこうした意見が出ていることについて、「私は憲法改正論者だ。社会全体の公益と人権のバランスを含めて国家としてどう対応するか、問い直されている局面だ」などと述べて追随した。

 まったく何を言っているんだか。松川氏や伊吹氏の「緊急事態条項があれば政令施行日を早められるのに」という主張は、本日、安倍首相が前倒しを決定したように、緊急事態条項がなくても可能な話だ。だいたい、政令施行の前倒しは、国民民主党・森ゆうこ参院議員が参議院法制局に確認したところ、制定日と施行日が一緒にしても結果として適法であるという判断が最高裁でなされていると昨日30日の参院予算委員会であきらかにしていた。それを「違法・適法の問題ではない」と言って施行前倒しを拒否したのは安倍首相だ。

  しかも、そもそも今回の新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、憲法を改正して緊急事態条項を設ける必要など、まるでない。実際、専門家がそう断言しているのだ。

 今朝放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、司会の羽鳥が「(入国者に検査は)強制できないですよね?」と述べると、元国立感染症研究所研究員である岡田晴恵・白鴎大学特任教授が「いや、できます」と言い、こうつづけた。

「1月28日に(新型コロナウイルスによる肺炎を)指定感染症にして、それから検疫感染症にしているんです。だから疑わしきは検査できるんですね。これが、法律の運用が1月28日に決まって10日間の空間があるんですが、2月7日からはそうなります。だから憲法改正は関係ないんです。いま私たちが望むことというのは前倒しをして運用してくれっていうだけで解決します」

 この発言のあと番組では速報として、政府が施行の前倒しを検討していると発表したことを伝えたのだが、つまり、感染症の専門家も現行法で対処できる問題だと見解を示したのだ。

 実際、検疫感染症に指定されたことで、法律上、感染が疑われる入国者に対しては検査を指示することができる。また、2013年に施行された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を適用すれば、さらなる措置も可能となる。この特措法による措置としては入国者の検疫強化(隔離・停留・健康監視等)が実施されるほか、不要不急の外出の自粛要請や検疫のための病院・宿泊施設等の強制使用、臨時医療施設開設のための土地の強制使用などが指示できるようになるといったようにかなりの強制力がある。この特措法じたい広汎な人権制限が定められているという問題があり、当然、運用には慎重さが求められる内容だが、緊急事態条項を新たに憲法に盛り込まずとも、すでに現行法で十分対応は可能なのだ。

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