しかし、安倍首相の言動からは「年をまたげば国民は忘れるから逃げ切れる」と考えていることがありありと伝わってくる。実際、今月13日には、責任転嫁するような発言までおこなった。
「一昨年と昨年はモリカケ問題。今年の春は統計の問題。この秋は『桜を見る会』。この3年ほどの間、国会では政策論争以外の話に多くの審議時間が割かれてしまっていることを国民のみなさまに大変申し訳なく思っております」
森友・加計も、統計不正も、「桜を見る会」問題も、すべて安倍首相および昭恵氏の関与が疑われた問題だというのに、この他人事感。しかも「桜を見る会」の疑惑追及で野党が政策論争を妨害したかのような言い草だが、肝心の大臣が2人もスピード辞任して審議を遅らせたのはどこの誰だ。しかも、菅原一秀経産相は日米貿易協定の承認案が審議入りした衆院本会議を、その後辞任にいたった有権者買収の疑惑から逃げるために欠席までしたのである。
公文書管理のあり方を崩壊させようとしている招待者名簿破棄問題に、ジャパンライフ会長や反社会的勢力の招待問題、さらに「私人」たる昭恵氏の枠まで用意されていた招待者基準問題、安倍夫妻の友人が選ばれていたケータリング業者選定問題、そして公選法、政治資金規正法、贈収賄といった違法性が問われる問題……。「桜を見る会」が抱える問題点は多岐にわたる上、元TBS記者・山口敬之氏の逮捕状取り消し疑惑と同様、安倍首相による“お友だち優遇”“自分の支持者・支援者を特別扱い”という問題をはらんでいる。これは年またぎで清算されるような話ではないと、あらためて指摘しておきたい。
(編集部)
最終更新:2020.10.28 03:03