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安倍首相ごり押し「軍艦島」の世界遺産報告書から「朝鮮人の強制労働」を削除! 国際公約を反故にして徴用工問題消し去る安倍政権

 さらに、大きいのは同団体を実質的に仕切っている専務理事・加藤康子氏の存在だ。加藤康子氏は2015年12月から今年7月まで内閣官房参与を務め、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録の“陰の立役者”などと呼ばれているのだが、この康子氏と安倍首相は“幼なじみ”で家族同然の深い関係にある。康子氏は故・加藤六月元農水相の長女なのだが、加藤氏は安倍首相の父・晋太郎氏の安倍派四天王の筆頭で、康子氏の母は安倍首相の母・洋子氏と“姉妹”のように親しかったというのは有名な話だ。また、康子氏は安倍首相の側近である加藤勝信厚労省の元婚約者でもある(勝信氏はその後康子氏の妹と結婚したため、義理の弟にあたる)。

「週刊新潮」(新潮社)2015年5月21日増大号に掲載された彼女のインタビューによると、自民党が野党に転落していたころ、安倍氏は「明治産業遺産」の世界遺産登録への熱意を語った康子氏にこう語ったという。

「君がやろうとしていることは『坂の上の雲』だな。これは、俺がやらせてあげる」

 安倍首相は総裁の地位に返り咲いた3日後、彼女に電話をかけ、「産業遺産やるから」と、決意を語ったという。実際、第二次安倍政権誕生後のやり方は強引としかいいようのないものだった。文科省の文化審議会は2013年8月に「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を正式に推薦候補として決定していたにもかかわらず、内閣官房の有識者会議は対抗するように「明治産業遺産」を正式推薦に選定した。

 この動きに対しては、当然ながら、韓国から「遺産群のなかには強制徴用が行われた施設がある」という反対の声が上がったが、安倍首相はそれでも「明治産業遺産」をゴリ押し。結局、最終的には菅義偉官房長官が決定権を握り、「明治産業遺産」を政府推薦とし、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を先送りにしたのである。

 そして、安倍政権は、世界遺産登録の運動の際は、国際社会を納得させるため、〈その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと〉を認めていたにもかかわらず、今になって完全に手のひらを返したのだ。

 それは、世界遺産登録の運動を牽引してきた安倍首相の幼なじみ・加藤康子氏が率いる「産業遺産国民会議」も同様だ。

たとえば、加藤氏は今年の8月5日には産経新聞のインタビューで、〈世界遺産登録は果たせたが、日本が戦時中に朝鮮人労働者に奴隷労働を強いたとのイメージを持った委員国もあったでしょう〉などと語り、〈賃金データでは半島出身者が日本人に比べ不当に低かったということはありません。韓国では朝鮮人労働者には日本人に比べ、質素な食事が与えられていたといわれていますが、炊事場もメニューも同じ。住環境の面も待遇に差はなかった〉などと主張。また、加藤氏が専務理事を務める「産業遺産国民会議」も「軍艦島の真実−朝鮮人徴用工の検証−」なるサイトを作り、元島民らの証言を使い「検証」と称して、朝鮮人元徴用工の証言などを否定する運動を展開している。

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